企業活動と経営管理の総まとめ|11キーワードを過去問と具体例で学ぶ【ITパスポート】

「うちの会社の経営理念、言えますか」と聞かれて、すぐに答えられる人は意外と少ないかもしれません。ITパスポート試験のストラテジ系は、この経営理念を出発点に、CSRやPDCA、BCPといった「会社の動かし方」に関する用語が続きます。この記事では「企業活動と経営管理」の11キーワードを、身近な例と過去問で整理し、試験で迷わない区別のしかたまで解説します。
この記事で学べるキーワード
| 分類 | キーワード | ひとこと |
|---|---|---|
| 企業活動 | 経営理念 | 会社の存在意義を示す最上位の考え |
| CSR | 企業が果たす社会的責任 | |
| SRI | 社会的責任も評価して投資する | |
| SDGs | 国連が定めた持続可能な開発目標 | |
| ディスクロージャ | 経営状況を外部へ公開する | |
| 経営管理 | PDCA | 計画→実行→検証→改善のサイクル |
| OODAループ | 観察を起点にすばやく動く判断法 | |
| 経営管理(緊急時) | BCP | 非常時でも事業を続ける計画 |
| BCM | BCPを回し続けるための管理 | |
| 人材育成 | OJT | 実務のなかで学ぶ訓練 |
| Off-JT | 実務を離れて学ぶ訓練 |
まずは表で全体像をながめてみてください。名前は知っていても、いざ説明するとなると迷う用語が多いのではないでしょうか。
企業活動
経営理念
会社のホームページの「私たちについて」を開くと、たいてい短い一文が掲げられています。あれが経営理念です。過去問では次のように説明されています。
企業が活動する際に指針となる基本的な考え方であり、企業の存在意義や価値観などを示したもの
(出典:ITパスポート試験 平成21年春期 問22)
簡単にいうと、会社が「何のために存在するのか」を言葉にしたものです。たとえばGoogleは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」と掲げています。事業の具体的な中身ではなく、目指す世界観を示している点がポイントです。
経営理念は会社の根っこなので、数年でころころ変わるものではありません。ここを押さえておくと、次の過去問のような引っかけを見抜けます。
試験でのポイント: 経営理念は「変わらない・明文化される・抽象的」。具体的な計画は「経営戦略」の役割で、別物として区別する。
CSR
企業の社会活動というと、清掃ボランティアや寄付を思い浮かべるかもしれません。ですが、それだけがCSRではありません。CSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)は、過去問で次のように説明されています。
企業活動において経済的成長だけでなく、環境や社会からの要請に対し、責任を果たすことが、企業価値の向上につながるという考え方
(出典:ITパスポート試験 平成22年秋期 問22)
つまり、法令を守る、環境に配慮する、株主や地域に説明責任を果たす、といった「社会の一員としての責任」を広く含む考え方です。慈善活動はそのごく一部にすぎません。利益さえ出せばよいわけではない、という現代の企業観を表す用語だと覚えておきましょう。
試験でのポイント: CSR=寄付や清掃だけ、と狭くとらえない。法令遵守・環境配慮・説明責任まで含む広い概念。
SRI
SRI(Socially Responsible Investment、社会的責任投資)とは、社会的責任への取り組みも評価して投資先を選ぶ考え方です。企業に投資するとき、もうけの大きさ(財務評価)だけを見るわけではありません。似た言葉にESG投資があり、こちらのほうがニュースでよく目にするかもしれません。CSRが「企業の側の責任」なら、SRIは「投資する側の目線」です。ペアで押さえておくと混同しません。
試験でのポイント: CSRは企業が果たす責任、SRIは投資家が責任ある企業を選ぶこと。主語がちがう。
SDGs
SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)は、持続可能な世界を実現するために国連が採択した開発目標です。2015年に採択され、2030年を達成の期限として、貧困や気候変動など17のゴールが定められています。カラフルな17色のバッジを見たことがある方も多いのではないでしょうか。試験では細かい目標の中身より、「国連が採択した2030年までの世界共通の目標」という枠組みを押さえれば十分です。
試験でのポイント: 国連が採択・17のゴール・2030年が期限、という3点で覚える。
ディスクロージャ
ディスクロージャ(disclosure)とは、企業が経営状況を外部に公開することです。上場企業が決算の内容を投資家へ開示するのが典型例です。ここで注意したいのは、あくまで「企業が自主的に情報を公開する」仕組みだという点です。行政機関の文書を対象とする情報公開法とは別物なので、混同しないようにしましょう。先に出てきたCSRやSRIとも関わりが深いので、まとめて覚えておくと理解が進みます。
試験でのポイント: 主語は企業。行政の文書を対象とする情報公開法とは区別する。
経営管理
会社は「ヒト・モノ・カネ・情報」という4つの経営資源を使って活動します。ここからは、その資源をうまく回すための管理手法を見ていきましょう。
PDCA
もっとも有名な管理手法がPDCAです。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(検証)→ Act(改善)の順に進め、改善の結果を次の計画へつなげて、ぐるぐると回し続けます。この4文字は、品質管理の専門家であるデミングが広めたことから「デミング・サイクル」とも呼ばれます。ダイエットにたとえるなら、計画を立て、実行し、体重で効果を測り、やり方を見直す——あの流れそのものです。試験では、ある行動がP・D・C・Aのどれに当たるかを問う形式がよく出ます。
試験でのポイント: Check(検証)は測定・監視、Act(改善)は改善目標の設定や見直し。CとAの区別が問われやすい。
OODAループ
PDCAほど有名ではありませんが、OODA(ウーダ)ループも押さえておきましょう。Observe(観察)→ Orient(状況判断)→ Decide(決定)→ Act(実行)の順で動く判断法です。もともとは米空軍のパイロットだったジョン・ボイド氏が、空中戦での意思決定をもとに考案した理論だといわれています。じっくり計画を立てるPDCAに対し、OODAループは目の前の状況をまず観察し、すばやく動くことを重視します。変化の速い場面に強い考え方です。
試験でのポイント: PDCAは計画重視、OODAループは観察重視で計画には触れない。この対比で覚える。
経営管理(緊急時)
PDCAとOODAループは平常時の話でしたが、ここからは災害などの非常時に備える仕組みです。
BCP
BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)とは、非常時でも事業を続けるための計画です。事業が止まる原因やリスクを想定し、被害を受けても速やかに回復できるよう、方針や手順を決めておきます。たとえば本社が地震で全壊しても、別の支社で重要な業務だけは続けられるように手順を整えておく——これがBCPの発想です。「全壊したから全社員が指示を待つ」のではなく、「限られた状況でも事業を止めない」ことを目指すと覚えておきましょう。
試験でのポイント: BCPの目的は事業を止めないこと。防災設備の点検や保険加入といった「被害を防ぐ」施策とは狙いがちがう。
BCM
BCP(計画)を立てただけでは、いざというとき動けません。BCM(Business Continuity Management、事業継続管理)とは、作ったBCPを回し続けるための管理活動です。従業員への教育・訓練や、運用方法の見直しを続けていくことを指します。BCPが「計画書」なら、BCMはその計画を生きた状態に保つ「回し続ける活動」です。ここでも改善のためにPDCAが使われます。
試験でのポイント: BCPは計画そのもの、BCMはその計画を運用・改善し続けるプロセス。「Plan」と「Management」の違いで覚える。
人材育成
OJT・Off-JT
最後は、社員を育てる2つの手法です。この2つは完全に対になる概念なので、セットで覚えると迷いません。OJT(On the Job Training)は、実際の業務のなかで、先輩から指導を受けながら技術や知識を身につける訓練です。一方のOff-JT(Off the Job Training)は、業務を離れた場所で行う訓練で、集合研修や外部セミナーが当てはまります。
覚え方は、「On the Job」=仕事中、「Off the Job」=仕事の外です。前置詞そのままなので、名前から意味が引き出せるのではないでしょうか。この2つはまさに次の過去問で問われます。
試験でのポイント: OJT=現場で実務を通じて学ぶ、Off-JT=現場を離れて学ぶ。事例がどちらかを問う形式が定番。
過去問に挑戦
それでは、実際の過去問を1問解いてみましょう。ここまでの内容が頭に入っていれば、自信をもって選べるはずです。
腕試し問題
出典:ITパスポート試験 平成27年春期 問3
現在担当している業務の実践を通じて、業務の遂行に必要な技術や知識を習得させる教育訓練の手法はどれか。
解答と解説
正解はエです。
正答の理由
問題文の「現在担当している業務の実践を通じて」という部分が、まさにOJTの定義です。OJT(On the Job Training)は、実務のなかで上司や先輩から直接指導を受けながら技術や知識を身につける訓練なので、エが正解になります。
誤答の解説
- ❌ ア「CDP」→ 社員のキャリア形成を長期的に支援する制度で、特定業務の実践を通じた訓練ではありません
- ❌ イ「eラーニング」→ インターネット経由で教材を学ぶ手法で、実務の実践を通じた訓練ではありません
- ❌ ウ「Off-JT」→ 業務を離れた集合研修などによる訓練で、OJTの対義語です。「Off(仕事の外)」がヒントになります
ポイント
- OJT=業務のなかで学ぶ現場訓練(On the Job=仕事中)
- Off-JT=業務を離れた集合研修(Off the Job=仕事の外)
- 「実践を通じて」「担当業務のなかで」という言葉が出たらOJTを疑う
まとめ
| キーワード | 一行まとめ |
|---|---|
| 経営理念 | 会社の存在意義を示す最上位の考え。変わらない・明文化される |
| CSR | 企業の社会的責任。寄付だけでなく法令遵守・環境配慮まで含む |
| SRI | 社会的責任への取り組みも評価して投資すること |
| SDGs | 国連が採択した2030年までの持続可能な開発目標(17ゴール) |
| ディスクロージャ | 企業が経営状況を外部に公開すること |
| PDCA | 計画→実行→検証→改善を回す管理サイクル |
| OODAループ | 観察を起点にすばやく動く判断法。計画には触れない |
| BCP | 非常時でも事業を止めないための計画 |
| BCM | BCPを教育・訓練・見直しで回し続ける管理 |
| OJT | 実務のなかで学ぶ現場訓練 |
| Off-JT | 実務を離れて学ぶ集合研修 |
キーワードは多いですが、対で押さえれば頭に入ります。「経営理念は変わらない」「PDCAとOODAの対比」「BCPとBCMの計画と管理」「OJTとOff-JTのOnとOff」——この4つの対比を思い出せれば、本番で迷う場面はぐっと減ります。