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著作権・産業財産権の総まとめ|8キーワードを過去問と具体例で学ぶ【ITパスポート】

シカラボ編集部
著作権・産業財産権の総まとめ|8キーワードを過去問と具体例で学ぶ【ITパスポート】

スマホで読み取るQRコード。開発した会社は特許を取りましたが、規格どおりのQRコードには特許権を使わないと宣言しています。だから誰でも無料で作って読み取れますが、名前の「QRコード」は商標で守られています。ITパスポート試験でよく問われる「知的財産権」は、まさにこうした権利の使い分けを問う分野です。この記事では、著作権・産業財産権にまつわる8つのキーワードを、身近な例と過去問で整理していきます。

この記事で学べるキーワード

分類キーワードひとこと
知的財産権知的財産権創作物や商品の目印などを守る権利の総称
著作権著作権創作した時点で自動発生する権利
著作者人格権著作者の名誉・感情を守る権利
産業財産権産業財産権特許庁が所管する4つの権利
特許権新しい「発明」を保護
実用新案権物品の形状などの「考案」を保護
意匠権物や建物、画面の「デザイン」を保護
商標権商品を区別する「マーク」を保護

知的財産権は、近年の試験でくり返し出題される頻出テーマです。8つと数は多めですが、「申請が必要か」「何を保護するか」の2点で整理すると、一気に見通しがよくなります。まずは表で全体像をつかんでみてください。

知的財産権

知的財産権

音楽、小説、発明、ブランドのロゴ。人が頭を使って生み出したものには、勝手にまねされない権利が与えられます。これをまとめて呼ぶのが知的財産権です。文化庁は、知的な創作活動によって何かを創り出した人に対して付与される「他人に無断で利用されない」といった権利、と説明しています。

知的財産権は、大きく3つに分かれます。著作権と、産業財産権と、その他の権利です。この記事では、試験でよく問われる著作権と産業財産権を順に見ていきましょう。

  • 著作権: 小説・音楽・プログラムなど、創作した「表現」を守る
  • 産業財産権: 発明・デザイン・ブランドなど、産業で使う「アイデアや目印」を守る

試験でのポイント: 知的財産権は「著作権」と「産業財産権」の2本柱でとらえる。

知的財産権が著作権・産業財産権・その他の権利の3つに分かれ、著作権の下では著作者の権利として著作権(財産権)と著作者人格権が横に並び、産業財産権の下に特許権・実用新案権・意匠権・商標権が並ぶ関係図

著作権

著作権

まず身近なところから見てみましょう。ノートに描いたイラストや、スマホで撮った写真。その人なりの工夫が表れていれば、描いた瞬間、撮った瞬間から著作物として守られます。著作権法は、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定めています。

著作権とは、小説・音楽・美術・映画・プログラムなどの著作物を創作した人に与えられる、無断でコピーや配信をされない権利です。

ここが試験の最重要ポイントです。著作権は、創作した時点で自動的に発生します。役所への申請も登録もいりません。過去問でもこの点がくり返し問われています。

著作者の権利である著作権が発生するのはどの時点か。

(出典:ITパスポート試験 平成27年秋期 問1)

答えは「著作物を創作したとき」です。このしくみを「無方式主義」と呼びます。じつはこれ、日本だけのルールではありません。「ベルヌ条約」という国際的な取り決めがあり、日本を含む多くの国が、著作権は登録なしで発生すると定めています。

動画やこの記事の下にある「©」(コピーライト表記)がなくても、日本では著作権は守られます。いまの©は、主に権利者の名前を示すためのマークとして使われています。

保護の対象は、小説・音楽・美術・映画にとどまりません。コンピュータプログラムも著作権で守られる点は、初めて聞いた方はぜひ覚えておきましょう。取扱説明書のような文章も対象になります。データベースも、情報の選び方や並べ方に創作性があれば著作物になります。

ただし、プログラムを書くためのプログラム言語や、アルゴリズム(処理の手順)、プロトコル(通信の決まりごと)は、著作権で守られません。過去問でも、ソースプログラムは対象、通信プロトコルは対象外、という形で問われています。

試験でのポイント: 「著作権=申請不要で自動発生」「プログラムも対象(言語・アルゴリズム・プロトコルは対象外)」を最優先で覚える。

著作者人格権

著作権とセットで登場するのが著作者人格権です。これは、著作者が精神的に傷つけられないようにするための権利です。たとえば、作品を勝手に改変されたり、作者名を無断で変えられたりしない権利がこれにあたります。

著作権法は、著作者人格権と著作権(財産権)を、「著作者の権利」として並べて定めています。名前は似ていますが、著作権と著作者人格権は「守るもの」が違います。次の表で整理します。

項目著作権著作者人格権
守るもの財産権(経済的な利益)人格権(名誉・感情)
保護期間原則、著作者の死後70年まで著作者の存命中(死後も、侵害となる行為は原則禁止)
譲渡・相続できるできない

覚え方のヒントは、「お金は渡せる、気持ちは渡せない」です。著作権は財産(お金)に関する権利なので他人に譲渡・相続できますが、著作者人格権は本人の気持ちに関する権利なので、本人だけのものです。

身近な例で確かめてみましょう。音楽の権利を管理するJASRACという団体を聞いたことがあるかもしれません。JASRACが作曲者から預かって管理しているのは、譲渡できる「著作権」のほうです。作曲者の気持ちに属する著作者人格権は、他の団体に渡すことができません。

ちなみに著作権の保護期間は、以前は「死後50年」でした。2018年12月30日のTPP11という国際協定の発効にあわせて、「死後70年」に延長されています(参考: 文化庁「著作物等の保護期間の延長に関するQ&A」)。20年も延びたのは、比較的最近のできごとなのです。なお、会社などの団体名義の著作物や映画は、原則として公表後70年です。

試験でのポイント: 「譲渡できるのは著作権、できないのは著作者人格権」で区別する。

著作権と著作者人格権を、守るもの・保護期間・譲渡や相続の可否・JASRACが預かるのはどちらかで並べて比べた図

産業財産権

産業財産権

ここからは産業で使われる権利、産業財産権です。特許庁のホームページでは、知的財産権のうち特許権・実用新案権・意匠権・商標権の4つを産業財産権といい、特許庁が所管する、と説明されています。新しい技術やデザイン、ネーミングに独占権を与えて、模倣を防ぐ制度です。

著作権との最大の違いは、権利が生まれる条件です。著作権は自動で発生しましたが、産業財産権は特許庁への申請・登録が必要です。ここが両者を分けるいちばんのポイントになります。

産業財産権は4つに分かれます。以下では1つずつ、保護する対象に注目しながら整理します。

試験でのポイント: 「産業財産権=特許庁に申請が必要な4つ(特許・実用新案・意匠・商標)」とセットで覚える。

特許権

産業財産権の代表格が特許権です。特許権は、自然法則を利用した、新規かつ高度で産業上利用できる発明を保護します。たとえば、通信を高速にする新しい方式や、携帯電話の通信方式に関する発明などが対象です。

意外に思うかもしれませんが、「ビジネスの仕組み」も特許になることがあります。これをビジネスモデル特許と呼びます。ただし、どんな仕組みでもよいわけではなく、インターネットなどの技術を使った、簡単には思いつかない新しいものに限られます。

特許権は、審査を経て登録されたときに生まれ、原則として出願日から20年で終わります。この20年という数字は、次に登場する商標権と比べるときの軸になるので、頭のすみに置いておいてください。

試験でのポイント: 特許権は「発明」を保護。存続期間は原則、出願から20年。

実用新案権

実用新案権は、物品の形状・構造・組合せに関する考案を保護します。特許の「発明」と違って「高度」であることは求められず、少し身近で小さな工夫を守るイメージです。たとえば、持ち運びやすいようにベルトに取り付けられるスマートフォンカバーの形状、といった考案が対象になります。

実用新案権だけを問う問題も出ています(令和6年 問35など)。とくに押さえたいのは、次の2点です。

  • 対象は物品の形状・構造・組合せで、製造方法のような「方法」は対象外
  • 新規性などの中身の審査をせずに登録される

試験でのポイント: 実用新案権は「物品の形状・構造・組合せの考案」。方法は対象外で、中身の審査なしで登録される。

意匠権

意匠権は、見た目の美しさにかかわるデザインを保護します。対象は、物品の形状・模様・色彩のほか、建築物や、操作画面などの画像にも及びます。たとえば、美しく握りやすい曲面が施されたスマートフォンのデザインが対象です。

ここで、記憶に残る豆知識を1つ。「意匠」はもともと、文章や絵の構想を練ることを表す古い漢語です。のちに、英語のデザイン(design)の訳語としても使われるようになりました。

「意匠=デザイン」とそのまま覚えてしまえば、選択肢で迷わなくなります。過去問でも「パッケージのデザインを保護するのは意匠権」といった形で問われています。

試験でのポイント: 意匠権は「デザイン」。「意匠=デザイン」で即答できるようにする。

商標権

商標権は、商品やサービスを他社と区別するために使うマーク(文字・図形など)を保護します。メーカーが自社製品に付けるロゴマークなどが典型例です。

商標権には、他の3つにはない大きな特徴があります。更新をくり返すことで、半永久的に持ち続けられるのです。特許権が原則20年で切れるのとは対照的で、産業財産権のなかで更新できるのは商標権だけです。

この特徴をうまく使ったのが、冒頭のQRコードです。QRコードを開発した株式会社デンソーウェーブは、規格化されたQRコードについて、自社の特許権を行使しないと宣言しています。だから、規格どおりのQRコードを作ったり読み取ったりするのに、使用料はかかりません(参考: デンソーウェーブ「QRコードドットコム」)。

その一方で、「QRコード」という名前は商標として守り続けています。使うときは「QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です」と表示してほしい、と依頼しているのです。特許は原則20年で切れますが、商標なら更新でずっと守れます。コードは広めて名前は守る——権利の特性を知りつくした、見事な戦略ではないでしょうか。

試験でのポイント: 商標権は「マーク」を保護。産業財産権で唯一、更新して半永久的に持てる。

特許権は発明、実用新案権は考案、意匠権はデザイン、商標権はマークと、産業財産権4つの保護するものと具体例を並べた表の図

過去問に挑戦

それでは、実際の過去問を1問解いてみましょう。この記事の一番のポイント「申請が必要かどうか」がそのまま問われます。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 平成21年春期 問15

知的財産権のうち、権利の発生のために申請や登録の手続を必要としないものはどれか。

解答と解説

解説(解答せずに開けます)

正解はウです。

正答の理由

著作権は、著作物を創作した時点で自動的に発生し、特許庁などへの申請や登録の手続きはいりません。このしくみを「無方式主義」といい、著作権最大の特徴です。よってウが正解です。

誤答の解説

  • ❌ ア「意匠権」→ 産業財産権の1つで、特許庁へ出願・登録して初めて権利が発生します
  • ❌ イ「実用新案権」→ こちらも産業財産権で、特許庁への出願・登録が必要です
  • ❌ エ「特許権」→ 産業財産権で、特許庁への出願・審査・登録を経て発生します

ポイント

  • 著作権=申請不要で自動発生(無方式主義)
  • 産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標)=特許庁への申請・登録が必要
  • 「この4つのうち、申請・登録なしで発生するのは著作権」と覚える

まとめ

キーワード一行まとめ
知的財産権創作物や商品の目印などを守る権利の総称。著作権と産業財産権が2本柱
著作権創作した時点で自動発生。プログラムも保護対象
著作者人格権著作者の名誉・感情を守る。譲渡・相続はできない
産業財産権特許庁に申請が必要な4つの権利の総称
特許権「発明」を保護。存続期間は原則、出願から20年
実用新案権物品の形状・構造・組合せの「考案」を保護。方法は対象外
意匠権物品・建築物・画像の「デザイン」を保護(意匠=デザイン)
商標権「マーク」を保護。更新で半永久的に持てる唯一の権利

数の多いテーマですが、「申請が必要か」「何を保護するか(発明・考案・デザイン・マーク)」の2つの軸で整理すれば怖くありません。著作権と著作者人格権は申請がいらず、産業財産権は申請が必要です。

とくに産業財産権の4つは、保護対象をキーワードでひもづけて覚えるのが近道です。試験前には、まとめの表をもう一度見返して、区別のしかたを定着させておきましょう。

動画で学ぶ

著作権・産業財産権は、YouTubeでも解説しています。音声と図解で学びたい方は、こちらもご覧ください。

いずれもチャンネル「過去問と具体例から学ぶITパスポート試験」の動画です。

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