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不正競争防止法とその他の知的財産権の総まとめ|5キーワードを過去問と具体例で学ぶ【ITパスポート】

シカラボ編集部
不正競争防止法とその他の知的財産権の総まとめ|5キーワードを過去問と具体例で学ぶ【ITパスポート】

好きなアーティストの写真を、無断で自社の広告に使ったらどうなるでしょうか。あるいは、他社の秘密の製造ノウハウを転職者から聞き出して自社で使ったら——。どちらも、名前は聞いたことがあるようで説明はしづらい権利や法律に関わってきます。この記事では「その他の知的財産権」に分類される5つのキーワードを、身近な具体例と過去問で整理します。前回の著作権・産業財産権ほど頻出ではありませんが、押さえておくと差がつくテーマです。

この記事で学べるキーワード

分類キーワードひとこと
不正競争の防止不正競争防止法不正な競争行為を規制する法律
営業秘密法律で守られる3要件つきの秘密
ビジネスモデルサブスクリプション一定期間の利用に課金する形態
人に関する権利肖像権姿や顔を勝手に使わせない権利
パブリシティ権著名人の名前・肖像の経済的価値

いずれも著作権や特許権のように単独では出題数が多くありませんが、問題を解くうえで背景知識として効いてきます。まずは表で全体像をながめてみてください。

不正競争の防止

不正競争防止法

「豚肉を混ぜたひき肉を、牛ミンチと表示して売る」——これは実際に起きた食品の偽装事件が下敷きになった、不正競争防止法の違反にあたる典型例です。ほかにも、ヒット商品とそっくりの商品名で別会社が売り出す、秘密として管理していた技術を競合に流す、といった行為がこの法律で規制されています。

不正競争防止法とは、簡単にいうと「ずるい競争のしかた」を取り締まる法律です。経済産業省は、営業秘密の侵害や、広く知られたマークの不正使用などの「不正競争」を規制すること等を目的とする法律と説明しています。

公正な競争のルールを守るための法律なので、まねをしたり秘密を盗んだりして楽に利益を得る行為が幅広く対象になります。試験では「これは不正競争にあたるか」を選ばせる形で出題されることが多いキーワードです。

試験でのポイント: 「他社をまねる」「秘密を盗む」「まぎらわしい表示をする」がキーワード。ただし偶然の一致や、参考にしただけの開発は不正競争になりません。

参考: 経済産業省「不正競争防止法」

営業秘密

先ほどの不正競争防止法に「営業秘密」という言葉が出てきました。会社の中で大切に守っている情報のことですが、実はどんな秘密でも法律で守られるわけではありません。この線引きこそ試験のポイントなので、条件を1つずつ確認していきましょう。

不正競争防止法では、営業秘密を次のように定義しています。

秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの

(不正競争防止法 第2条第6項)

少し硬い言い回しですが、要は「有用で・秘密に管理されていて・世に知られていない情報」ということです。この3つの条件、つまり有用性・秘密管理性・非公知性のすべてを満たして、はじめて営業秘密として法律で守られます。

とくに大事なのが2つ目の秘密管理性です。頭の中で「これは秘密だ」と思っているだけでは足りません。ファイルに「社外秘」と表示する、施錠したキャビネットに保管する、閲覧できる人を限定するなど、秘密として扱っていることが客観的にわかる管理が必要です。逆にいえば、インターネットで公開されている情報に「部外秘」とラベルを貼っても、非公知性を満たさないので営業秘密にはなりません。

試験でのポイント: 有用性・秘密管理性・非公知性の3要件をすべて満たすことが必要。「秘密として管理していたか」がとくに問われます。

ビジネスモデル

サブスクリプション

音楽の聴き放題や動画の見放題、毎日のように使っている方も多いのではないでしょうか。あの「毎月いくらで使い放題」という料金のしくみが、サブスクリプションです。

過去問では、次のように利用形態を説明する用語として問われました。

あるソフトウェアは、定額の料金や一定の期間での利用ができる形態で提供されている。この利用形態を表す用語

(出典:ITパスポート試験 令和6年 問21)

サブスクリプション(略して「サブスク」)とは、簡単にいうと、商品やサービスを一定の期間だけ利用できる権利に対して料金を払うビジネスモデルのことです。買い切り型が「モノを所有する」のに対して、サブスクは「使う権利を借り続ける」という発想の違いがあります。

おもしろいのは、音楽や動画だけではないという点です。たとえばトヨタのKINTOは、新車を月額の定額料金で借りられるサービスで、車のサブスクといえます。家具や洋服、ソフトウェアまで、いまや対象は多岐にわたります。「所有から利用へ」という言葉とセットで押さえておきましょう。

試験でのポイント: 「定額」「一定期間」「利用できる」がそろえばサブスクリプション。ソフトウェアの提供形態を問う問題でよく登場します。

人に関する権利

ここからは、人そのものに関わる2つの権利です。名前が似ている肖像権とパブリシティ権を、違いに注目しながら整理していきましょう。

肖像権

集合写真を撮ったあとに「この写真、広報で使ってもいいですか」と確認された経験はないでしょうか。あの一言は、肖像権に配慮した行動といえます。

肖像権とは、自分の姿や顔を、勝手に他人に使わせない権利のことです。有名人だけでなく、すべての人が例外なく持っている権利だと考えて構いません。他人が写った写真をWebサイトやSNSに公開するときは、この権利を意識する必要があります。

肖像権が守っているのは、勝手に撮られたり使われたりしたくないという、その人の気持ち、つまり人格的な利益です。ここが、次のパブリシティ権との決定的な違いになります。

試験でのポイント: 肖像権は「すべての人」が対象で、守るのは人格的な利益(気持ち・尊厳)です。

パブリシティ権

一方、パブリシティ権は少し性格が違います。人気タレントの写真を無断で広告に使うと、その広告は明らかにパブリシティ権の侵害になります。

パブリシティ権とは、顧客を引きつける力(顧客誘引力)のある肖像や名前を利用して生まれる、経済的な価値を独占できる権利です。簡単にいうと、「有名だからこそ生まれるお金の価値」を守る権利です。したがって対象になるのは、顧客を引きつけるだけの知名度がある著名人に限られます。

肖像権とパブリシティ権は、守るものがまったく違います。肖像権は人格的な利益、パブリシティ権は経済的な利益を守ります。覚え方は、みんなが持つのが「気持ち」を守る肖像権、有名人だけが持つのが「お金」を守るパブリシティ権、です。

もう1つ、両方に共通する重要なポイントがあります。肖像権もパブリシティ権も、日本ではそれを直接定めた法律(明文化された条文)がありません。過去の裁判の積み重ね、つまり判例によって認められてきた権利です。

試験でのポイント: パブリシティ権は「著名人」が対象で、守るのは経済的な利益。肖像権・パブリシティ権とも明文化された法律はなく、判例で認められた権利です。

過去問に挑戦

それでは、実際の過去問を1問解いてみましょう。不正競争防止法と営業秘密が頭に入っていれば、消去法でも答えにたどり着けるはずです。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 平成23年特別 問20

不正競争防止法の不正競争に該当するものはどれか。

解答と解説

正解はです。

正答の理由

他社の営業秘密だと知りながら、取引先を経由して入手し自社で使う行為は、営業秘密の不正な取得・使用にあたります。不正競争防止法が規制する不正競争の典型例なので、エが正解です。

誤答の解説

  • ❌ ア「反社会的な行為を公表した」→ 事実を社会に知らせる目的での公表であり、他社に損害を与えるための行為とはいえないため、不正競争にはあたりません
  • ❌ イ「偶然ドメイン名が類似した」→ わざと似せて損害を与える意図があれば別ですが、偶然の一致であれば不正競争にはなりません
  • ❌ ウ「新聞記事の着想を参考に開発した」→ 参考にするだけなら問題ありません。まねをして模倣品を作った場合に不正競争となります

ポイント

  • 不正競争のキーワードは「営業秘密を盗む」「意図的にまぎらわしくする」
  • 偶然の一致や、参考にしただけの独自開発は不正競争ではない
  • 迷ったら「わざと・ずるく利益を得ようとしたか」で判断する

まとめ

キーワード一行まとめ
不正競争防止法秘密を盗む・まぎらわしい表示など「ずるい競争」を規制する法律
営業秘密有用性・秘密管理性・非公知性の3要件で守られる情報
サブスクリプション一定期間の利用に対して定額で課金するビジネスモデル
肖像権すべての人が持つ、人格的な利益を守る権利
パブリシティ権著名人の名前・肖像の経済的価値を守る権利(判例上の権利)

出題数が多いテーマではありませんが、「営業秘密の3要件」と「肖像権とパブリシティ権の守るものの違い」の2点は、そのまま問題に出せる形で整理されています。前回の著作権・産業財産権とあわせて、知的財産権のまわりをまるごと得点源にしておきましょう。まずは営業秘密の3要件を、声に出して3つ言えるか確かめてみてください。

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