業務分析・日程計画の手法の総まとめ|5キーワードを過去問と具体例で学ぶ【ITパスポート】

コンビニに並ぶたくさんの商品のうち、売上の大部分を生み出しているのは実はごく一部だけ——この経験則を図にしたのがパレート図です。ITパスポート試験では、こうした「業務を分析したり、作業の日程を組み立てたりする図」がくり返し出題されています。この記事では「業務分析・日程計画の手法」から5つのキーワードを、身近な具体例と過去問で整理し、図の読み方まで解説します。
この記事で学べるキーワード
| 分類 | キーワード | ひとこと |
|---|---|---|
| 業務分析の手法 | パレート図 | 多い順の棒+累積の折れ線 |
| ABC分析 | 累積比率で重要度をランク分け | |
| 品質管理の手法 | 特性要因図 | 原因を整理する魚の骨の図 |
| 日程計画の手法 | アローダイアグラム | 作業の順序を矢印で表す図 |
| クリティカルパス | 遅れると全体が遅れる経路 |
5つとも「図」に関するキーワードなので、文章に加えて図のイメージをつかむことが大切です。まずは表で全体像をながめてから、1つずつ見ていきましょう。
業務分析の手法
パレート図
冒頭のコンビニの話のように、売上や不良品の件数は「一部の項目に大きくかたよる」ことがよくあります。この「多い順」を目で見てわかるようにしたのがパレート図です。
分類項目別に分けたデータを件数の多い順に並べた棒グラフで示し、重ねて総件数に対する比率の累積和を折れ線グラフで示した図
(出典:ITパスポート試験 平成23年秋期 問14)
簡単にいうと、棒グラフ(各項目の件数を多い順に並べたもの)と、折れ線グラフ(左から順に足していった割合=累積比率)を1つに重ねた図です。たとえば件数が左から50、20、15、10、5だとすると、合計は100件です。折れ線はこれを順に足して、50%、70%、85%、95%、100%と伸びていきます。
この名前は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートに由来します。彼は「国の富の約8割は、2割の人が持っている」という偏りを発見しました。ここから生まれた「全体の大部分は一部の要素が生み出す」という考え方が、パレートの法則(80対20の法則)です。
試験でのポイント: 「棒グラフ+累積の折れ線」の組み合わせを見たらパレート図。似た図と区別できるようにしておきましょう。
ABC分析
パレート図はどんな場面で役立つのでしょうか。その代表例がABC分析です。
自社の商品を、売上高の高い順に三つのグループに分類して分析する。
(出典:ITパスポート試験 令和3年 問21)
ABC分析とは、売上金額などの累積構成比をもとに、管理する対象をA・B・Cの3ランクに分ける手法です。パレート図の累積の折れ線を使い、たとえば累積75%までをAランク、75〜95%をBランク、95%を超える部分をCランクとして区切ります。
身近な例が在庫管理です。Aランクの商品は売上への影響が大きいので毎日在庫を確認し、Cランクは在庫が切れたときにだけ発注する、というようにメリハリをつけます。すべての商品を同じ手間で管理するのではなく、大事なものに力を集中させるわけです。
試験でのポイント: パレート図=図そのもの、ABC分析=その図を使ったランク分けの手法、と役割を分けて覚える。
品質管理の手法
特性要因図
なにか問題が起きたとき、原因は1つではなく、いくつもの要素がからみ合っていることがほとんどです。その原因の関係を整理するのが特性要因図です。
ソフトウェアの設計品質には設計者のスキルや設計方法、設計ツールなどが関係する。品質に影響を与える事項の関係を整理する場合に用いる、魚の骨の形に似た図形
(出典:ITパスポート試験 平成26年春期 問4)
見た目が魚の骨に似ていることから、フィッシュボーンチャートとも呼ばれます。右端の頭にあたる部分に「解決したい課題」を書き、そこへ向かう太い骨に大きな原因、小骨にさらに細かい原因を書き足していきます。
たとえば「試験になかなか合格できない」という課題を考えてみます。大きな原因として「やる気」「時間」「勉強環境」「教材」の4つがあがりました。それぞれをさらに掘り下げると、「ゲームの誘惑がある」「家では集中できない」といった細かい要因が見えてきます。原因を書き出して並べることで、どこが本当に効いているのかを探せるのが特性要因図の強みです。
試験でのポイント: 「魚の骨」「原因の整理」というキーワードが出たら特性要因図。図の形と役割をセットで覚えておきましょう。
日程計画の手法
ここからは、複数の作業からなるプロジェクトの日程を組み立てるための2つのキーワードです。この2つはセットで理解すると一気にわかりやすくなるので、つなげて読んでみてください。
アローダイアグラム
大きな仕事は、たくさんの小さな作業の積み重ねでできています。それぞれの作業に「どれが先で、どれが後か」という順序があるとき、その流れを図にしたのがアローダイアグラムです。
作業項目の順序関係や依存関係を表すことができ、プロジェクトのスケジュール作成において使用する図
(出典:ITパスポート試験 平成25年春期 問44)
矢印(アロー)で1つ1つの作業を表し、それぞれに作業名と所要日数を書き込みます。つまり作業のつながりを地図のように表した図です。PERT図とも呼ばれます。
読み方のコツは、並行して進む道が合流する地点に注目することです。たとえば7日かかる作業Bと、合わせて8日かかる作業A・Cが同じ地点で合流するなら、そこから先へ進めるのは遅いほうの8日後です。速いほうは待つことになります。このように、合流点では「いちばん時間のかかる道」が全体を決めます。
試験でのポイント: 矢印で作業の順序と日数を表す図=アローダイアグラム。合流点は「最大の日数」を採用する。
クリティカルパス
アローダイアグラムを読むうえで、いちばん大事な考え方がクリティカルパスです。
クリティカルパス上の作業が遅延すると、プロジェクトの完了も遅延する。
(出典:ITパスポート試験 平成23年特別 問33)
クリティカルパスとは、作業の始まりから終わりまでの経路のうち、いちばん時間がかかる経路のことです。「クリティカル」は「致命的な」という意味で、この経路上の作業が1日でも遅れると、プロジェクト全体がそのまま1日遅れてしまいます。
先ほどのアローダイアグラムの例でいえば、合流点で選ばれた「いちばん長い道」をつないでいったものがクリティカルパスです。そして、プロジェクト全体にかかる日数は、このクリティカルパス上の作業日数を足し合わせた合計になります。逆に、クリティカルパス上にない作業は多少の余裕(遅れても間に合う時間)があり、少しくらい遅れても全体には影響しません。
試験でのポイント: クリティカルパス=最長の経路=全体の日数を決める道。ここを短縮しないかぎり、全体の日数は縮まらない。この「短縮するならクリティカルパス上」という考え方が計算問題でよく問われます。
過去問に挑戦
それでは、実際の過去問を1問解いてみましょう。日程計画の2つのキーワードが頭に入っていれば、自信をもって選べるはずです。
腕試し問題
出典:ITパスポート試験 平成23年特別 問33
システム開発プロジェクトにおけるクリティカルパスに関する記述のうち、適切なものはどれか。
解答と解説
正解はウです。
正答の理由
クリティカルパスは、いちばん時間のかかる経路なので余裕がありません。この経路上の作業が遅れると、その遅れを吸収できず、プロジェクト全体の完了も遅れます。よってウが適切です。
誤答の解説
- ❌ ア「遅延回復の要員はクリティカルパス上にない作業へ優先投入」→ 逆です。遅れを取り戻すには、原因となっているクリティカルパス上の作業に人を追加します
- ❌ イ「3日前倒しなら完了も必ず3日前倒し」→ 前倒しすると別の経路が新たに最長となり、期待どおり縮まらないことがあります。「必ず」が言いすぎです
- ❌ エ「クリティカルパスは1つだけ」→ 同じ最長日数の経路が複数並ぶこともあり、1つとは限りません
ポイント
- クリティカルパス=最長の経路=全体の日数を決める道
- 遅れを取り戻すなら、クリティカルパス上の作業を短縮する
- 「必ず」「1つだけ」のような言い切りの選択肢は疑ってかかる
まとめ
| キーワード | 一行まとめ |
|---|---|
| パレート図 | 件数を多い順に並べた棒+累積比率の折れ線を重ねた図 |
| ABC分析 | 累積構成比でA・B・Cの3ランクに分ける重点管理の手法 |
| 特性要因図 | 原因の関係を魚の骨の形で整理する図 |
| アローダイアグラム | 作業の順序と日数を矢印で表す日程計画の図 |
| クリティカルパス | 遅れると全体が遅れる、いちばん長い経路 |
どれも「図」がテーマなので、言葉だけでなく形とセットで覚えるのが近道です。とくにアローダイアグラムとクリティカルパスは計算問題として頻出なので、同じような過去問を何度もくり返し解いて、確実な得点源にしておきましょう。

