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経営戦略手法の総まとめ|8キーワードを過去問と具体例で学ぶ【ITパスポート】

シカラボ編集部
経営戦略手法の総まとめ|8キーワードを過去問と具体例で学ぶ【ITパスポート】

新しくパン店を開くなら、近所のお客さんは何を買いに来るか、近くの店は何が得意か、自分の店では何が作れるかを、まず確かめたくなるのではないでしょうか。この3つの見方には「3C分析」という名前が付いています。この記事では、こうした経営戦略の考え方の型を8つ、似た手法との見分け方もあわせて、過去問と架空のパン店の例で整理します。

この記事で学べるキーワード

分類キーワードひとこと
環境分析SWOT分析強み・弱み・機会・脅威
3C分析顧客・競合・自社
自社の資源と事業VRIO分析4つの要素で資源を評価
コアコンピタンスまねされにくい自社の力
PPM事業を4つに分ける
競争戦略と業務改善ベンチマーキング優れた他社と比べる
ニッチ戦略市場のすきまを狙う
ブルーオーシャン戦略競争のない市場を生み出す

平成21年春期〜令和7年の28回では、8語のどれかが問題文か正解の選択肢に出る問題が31問ありました。うちPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)が14問、SWOT分析が10問なので、この2つをとくに厚く扱います。分類ごとに見ていきましょう。

環境分析

まずは、内と外を見渡す2つの手法です。

SWOT分析

架空のパン店で考えてみましょう。看板の食パンが近所で評判なのは強み、駐車場がないのは弱みです。近くに大きなマンションが建って住む人が増えるなら機会、駅前に大型スーパーのパン売り場ができるなら脅威になります。

企業を取り巻く外的環境に潜む機会及び脅威、企業がもつ強み及び弱みを分析することによって、企業活動の今後の方向性を導き出すための手法である。

(出典:ITパスポート試験 平成25年春期 問24「SWOT分析の説明として、適切なものはどれか」の正解選択肢)

SWOTは、Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の頭文字です。4つは、企業がもつものか、外的環境かと、プラスかマイナスかの2つの切り口で分かれます。

SWOT分析の2×2の表。行は企業がもつもの(内部)と外的環境(外部)、列はプラスに働くとマイナスに働く。強み・弱み・機会・脅威がそれぞれのマスに入る

SWOT分析の10問のうち6問は、ある事柄が4つのどれに入るか、内と外のどちらかを問う形でした。たとえば平成23年度特別試験の問7は、内部環境の分析として「A社製品の限界利益率の把握」が正解です。限界利益率(売上高のうち、変動費を引いて残る利益の割合)は、自社製品の数字なので内部にあたります。平成25年秋期の問18では、輸出企業にとっての「為替レートが円高基調で推移している」が脅威の正解でした。

分類したら、組み合わせて対策を考えます。平成28年春期の問30は、整理した4つをもとに「強みを活用して脅威を克服する対策案」を選ばせる問題でした。

試験でのポイント: まず「企業がもつものか、外的環境か」を決め、次にプラスかマイナスかを見ます。

3C分析

冒頭のパン店の例が、そのまま3C分析です。

顧客、競合、自社の三つの観点から分析する。

(出典:ITパスポート試験 令和元年秋期 問7「事業環境の分析などに用いられる3C分析の説明として、適切なものはどれか」の正解選択肢)

3つのCは、Customer(顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の頭文字です。経営コンサルタントの大前研一氏は、『企業参謀』などの著書で説いた考え方が3Cの出発点だと書いています。

誤答には、ABC分析など「三つ」で分ける手法が並びました。数ではなく、何の三つかで見分けます。自社と外を両方見る点はSWOT分析と重なりますが、3Cは見る相手を3つに分けます。

自社の資源と事業

次は、自社が持つ力と、抱えている事業に目を向けます。

VRIO分析

パン店に独自の発酵の技術があるとして、それが本当に武器になるかを確かめるのがVRIO分析です。

経済価値、希少性、模倣困難性及び組織の四つの要素で評価することによって、自社のもつ資源を分析する手法

(出典:ITパスポート試験 令和7年 問4)

VRIOの4文字は、この4つの要素に順に対応します。パン店の技術なら、利益につながるか、持っている競合は少ないか、まねしにくいか、活かす体制があるか、と問いかけます。

VRIO分析の4つの要素と問い。V=経済価値は利益につながるか、R=希少性は持つ競合は少ないか、I=模倣困難性はまねしにくいか、O=組織は活かす体制があるか

同じ28回では、出題は令和7年の1問だけで、4つの要素の名前から手法名を選ぶ問題でした。ほかの選択肢には、PPMやSWOT分析などが並んでいました。

試験でのポイント: SWOT分析が外と内の両方を見るのに対し、VRIO分析は自社の資源を評価します。

コアコンピタンス

パン店が長年育ててきた自家製の酵母と職人の技は、香りと食感で客に選ばれる理由です。設備を買えば手に入るものではないので、ほかの店はすぐにはまねできません。

顧客に価値をもたらし、企業にとって競争優位の源泉となる、競合他社には模倣されにくいスキルや技術

(出典:ITパスポート試験 平成23年秋期 問22)

単に得意なことではなく、顧客に価値をもたらすことと、まねされにくいことの両方がそろっているかを見ます。

コアコンピタンスを論じた1990年の論文(C・K・プラハラードとゲイリー・ハメル、ハーバード・ビジネス・レビュー)は、見分ける目安を3つ挙げています。幅広い市場への足がかりになること、最終製品で顧客が感じる価値に大きく役立つこと、競合がまねしにくいことです。上の過去問の定義には、後ろの2つが入っています。

この力を軸にした経営は、コアコンピタンス経営と呼ばれます。

他社にまねのできない独自のノウハウや技術などに経営資源を集中し、競争優位を確立する。

(出典:ITパスポート試験 平成21年春期 問19「コアコンピタンス経営を説明したものはどれか」の正解選択肢)

コアコンピタンスとVRIO分析は、評価される力と評価する手法の関係にあり、「まねしにくいか」を見る点が重なります。

PPM

パン店が、店頭の食パンに加えて冷凍パンの通販も始めたとします。事業が2つ以上になると、お金や人をどちらにどれだけ回すかを決める必要があります。その配分を考える手法が、PPMです。

プロダクトポートフォリオマネジメントでは、縦軸に市場成長率、横軸に市場占有率をとったマトリックス図を四つの象限に区分し、製品の市場における位置付けを分析して資源配分を検討する。

(出典:ITパスポート試験 平成21年春期 問10)

見るのは、市場成長率と、その市場での自社のシェアの2つです。それぞれの高い・低いを組み合わせると、4つの象限(縦横の線で区切った4つのマス。過去問では「領域」とも書かれます)に分かれます。

象限市場成長率シェア
花形高い高い
金のなる木低い高い
問題児高い低い
負け犬低い低い
PPMの4つの象限。縦の市場成長率と横のシェアの高低で、花形・問題児・金のなる木・負け犬の4つに分かれる。横はシェアの高い側を左に置いている

パン店なら、伸びが緩やかな市場で高いシェアを持つ店頭の食パンは、金のなる木です。急成長している市場で、まだシェアが低い冷凍パンの通販は、問題児にあたります。

軸の書き方は問題によって違います。平成21年春期の問10は横軸を「市場占有率」、令和2年の問21は「相対マーケットシェア」と書いています。相対マーケットシェアは自社のシェアを最大の競合のシェアで割った値で、市場占有率とは計算が違います。ただ、同じ28回には、この計算のしかたを問う問題は見当たりません。

平成31年春期の問26の図は、縦軸が市場占有率、横軸が市場成長率で、この記事の図とは縦横が逆でした。図の問題では、まず軸の名前を読みましょう。

成長率とシェアで製品を4つに分けるマトリックス図は、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の考え方です。BCGの解説によると、創業者のブルース・ヘンダーソンが1970年の小論で取り上げ、広く知られるようになりました。BCGの日本語の解説では、金のなる木をCash cow、負け犬をPet(ペット)と英語でも書いています。

BCGは、このマトリックス図が「自社の競争力」と「市場の魅力度」を見るためのものだと説明しています。平成30年秋期の問26は「将来性と競争力」で製品を分ける手法としてPPM分析を正解にしており、BCGの説明と重なります。

PPMの14問で問われた象限は、金のなる木が4問、問題児が3問(1問は両方)でした。同じ28回には、花形や負け犬を正解にした問題は見当たりません。

試験でのポイント: 名前の印象ではなく、2つの軸の高い・低いの組合せで覚えます。選択肢から「成長率は高いか」「シェアは高いか」を拾って当てはめましょう。

競争戦略と業務改善

最後は、他社との戦い方と、業務の改善の考え方です。

ベンチマーキング

パン店が、行列のできる繁盛店と、注文から会計までの手順や待ち時間を比べたとします。差が分かれば、減らせる手順が見つかるかもしれません。

自社の製品やサービスを測定し、他社の優れたそれらと比較すること

(出典:ITパスポート試験 平成31年春期 問10「企業経営で用いられるベンチマーキングの説明として、適切なものはどれか」の正解選択肢)

この問題の誤答には「比較や分析の対象とする最も優れた事例のこと」がありました。手本になる事例そのものはベストプラクティスと呼ばれ、ベンチマーキングは手本と比べる活動のほうです。

なお「ベンチマーク」は、性能の評価などの意味でも出題されます。経営の手法として問われているかを、問題文で確かめてください。

ニッチ戦略

大手があまり扱わない、小麦アレルギーの人向けのパンだけに絞り、その分野で地域いちばんの品ぞろえを目指す。これがニッチ戦略の考え方です。

商品市場での過当な競争を避け、まだ顧客のニーズが満たされていない市場のすきま、すなわち小さな市場セグメントに焦点を合わせた事業展開で、競争優位を確保しようとする企業戦略

(出典:ITパスポート試験 平成21年春期 問4)

誤答はプッシュ戦略・ブランド戦略・プル戦略でした。「市場のすきま」「小さな市場セグメント」に焦点を合わせる話かどうかで選びます。

ブルーオーシャン戦略

品数を絞って費用を抑えつつ、「深夜でも焼きたて」という新しい価値で、これまでパン店に来なかった人を呼べないか。こう考えるのが、ブルーオーシャン戦略の発想です。

新しい価値を提供することによって、競争のない新たな市場を生み出す。

(出典:ITパスポート試験 平成27年秋期 問14「ブルーオーシャン戦略の説明として、適切なものはどれか」の正解選択肢)

ブルーオーシャン戦略は、経営学者のW・チャン・キムとレネ・モボルニュが、2004年の論文と2005年の著書で示した考え方です。提唱者のサイトでは、いま存在する産業をレッドオーシャン、まだ存在しない市場をブルーオーシャンと呼んでいます。差別化と低コストを同時に追うのが特徴で、この問題の誤答には差別化だけ、コスト削減だけの選択肢が並んでいました。

ブルーオーシャン戦略とニッチ戦略は、正面からの競争を避ける点が似ています。ニッチ戦略は小さな市場セグメントに焦点を合わせ、ブルーオーシャン戦略は競争のない新たな市場を生み出すことに重心があります。コアコンピタンス経営も含めた3つは、力を向ける先で見分けましょう。

コアコンピタンス経営は独自のノウハウや技術、ニッチ戦略は市場のすきま、ブルーオーシャン戦略は競争のない新たな市場に力を向ける、と3つを並べた図

過去問に挑戦

実際の過去問で確かめてみましょう。まずはSWOT分析の問題です。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 平成30年春期 問17

ある業界への新規参入を検討している企業がSWOT分析を行った。分析結果のうち、機会に該当するものはどれか。

解答と解説

解説(解答せずに開けます)

正解はイです。

正答の理由

規制緩和は、業界のルールが変わるという、自社の外で起きる変化です。新しく業界に入ろうとする企業には追い風なので、機会にあたります。

誤答の解説

  • ❌ ア「既存事業での成功体験」→ 企業がすでにもっている経験で、内部の要因です
  • ❌ ウ「自社の商品開発力」→ 企業がもつ力で、内部の強みです
  • ❌ エ「全国をカバーする自社の小売店舗網」→ 企業がもつ資源で、内部の強みです

ポイント

  • 機会と強みはどちらもプラス。分かれ目は、外で起きる変化か、企業がもつものか

もう1問、PPMの問題も解いてみましょう。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 平成26年秋期 問19

PPM(Product Portfolio Management)で“問題児”と呼ばれる領域の特徴として、適切なものはどれか。

解答と解説

解説(解答せずに開けます)

正解はエです。

正答の理由

問題児は、市場成長率が高く、シェアが低い象限です。成長率が高いままシェアを高めれば、花形に移る可能性があります。その育成を目指す事業には、積極的な投資が必要になります。

誤答の解説

  • ❌ ア「市場占有率が高く…収益源となる」→ 金のなる木です。成長率は書かれていませんが、シェアが高く、大きな投資なしに稼げる点で判断します
  • ❌ イ「市場の成長と高い占有率」→ どちらも高い花形です
  • ❌ ウ「市場の成長率及び市場占有率がともに低く」→ どちらも低い負け犬です

ポイント

  • 軸の片方しか書かれていない選択肢もある。書かれている特徴から、残りを補って判断する
  • 配分の基本は、金のなる木で得た資金を、花形に育つ見込みのある問題児に回すこと(パン店なら、食パンの稼ぎを冷凍パンの通販へ)

まとめ

キーワード一行まとめ
SWOT分析企業がもつ強み・弱みと、外的環境の機会・脅威
3C分析顧客・競合・自社の三つの観点
VRIO分析4つの要素で自社の資源を評価する
コアコンピタンス顧客に価値をもたらし、模倣されにくいスキルや技術
PPM市場成長率とシェアの高低で4つの象限に分ける
ベンチマーキング他社の優れたものと比較する
ニッチ戦略市場のすきま(小さな市場セグメント)に焦点を合わせる
ブルーオーシャン戦略競争のない新たな市場を生み出す

平成24年秋期の問15は、マーケティングミックス(製品・価格・流通・販売促進を組み合わせる手法)を問う問題です。その誤答には、SWOT分析・3C分析・PPMの説明が並んでいました。名前と説明文を結びつけておくと、こうした問題でも迷いにくくなります。最後に「強み・弱み・機会・脅威ならSWOT、顧客・競合・自社なら3C、市場成長率とシェアならPPM」と覚えておきましょう。

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