データ利活用の総まとめ|3キーワードを過去問と具体例で学ぶ【ITパスポート】

あるお店の購買データを分析したら、「ビールとおむつが一緒に買われやすい」という意外な関係が見つかった——データ分析の世界で語り継がれる有名な例え話です。こうした宝物のような発見を、大量のデータの山から掘り当てる技術がデータマイニングです。この記事では、そのデータマイニングを含む「データ利活用」の3つのキーワードを、過去問と具体例で整理します。ためたデータを役立てる一連の流れとして、まとめて理解していきましょう。
この記事で学べるキーワード
| 分類 | キーワード | ひとこと |
|---|---|---|
| データ利活用 | BI | データを経営判断に生かす考え方 |
| データウェアハウス | データを1か所にためる倉庫 | |
| データマイニング | ためたデータから規則性を掘り出す |
3つはバラバラの用語ではなく、「データをためて、分析して、経営に生かす」という1本の流れでつながっています。まずは表で全体像をながめてから、順番に見ていきましょう。
データ利活用
BI
会社にはたくさんのデータがたまっています。売上、在庫、顧客の情報——これらをただ保管するだけでなく、分析して次の一手に生かそう、という考え方がBIです。
ビジネスに関わるあらゆる情報を蓄積し、その情報を経営者や社員が自ら分析し、分析結果を経営や事業推進に役立てるといった概念はどれか。
(出典:ITパスポート試験 平成27年春期 問6 正解選択肢ア「BI」)
BIはBusiness Intelligence(ビジネスインテリジェンス)の略です。簡単にいうと、「データを見て、経営の意思決定に生かす」という考え方全体を指します。
身近な例で考えてみましょう。お店の店長が、日々の売上をノートに書き写して眺めるだけでは、なかなか傾向はつかめません。そこで、レジのデータを自動で集計し、「雨の日は温かい飲み物が売れる」といった傾向をグラフで見えるようにする。この見える化をもとに次の仕入れを決める——これがBIの実践です。
「BIツール」という言葉なら聞いたことがあるかもしれません。マイクロソフトのPower BI、Tableau(タブロー)、グーグルのLooker Studio(ルッカースタジオ)などが代表例です。これらは、集めたデータをグラフや表に見やすくまとめる作業を助けてくれる道具です。表計算ソフトよりもデータの可視化に特化した道具、と考えるとイメージしやすくなります。
ここで大切なのは、BIが特定のソフトの名前ではなく「概念」だという点です。ツールはあくまでBIを実現する手段にすぎません。試験でも「〜という概念はどれか」という形で問われます。ツール名にまどわされず、「データを経営に生かす考え方」という本質をおさえておきましょう。
試験でのポイント: BIは道具の名前ではなく、データを経営に生かす「考え方」そのもの。
データウェアハウス
BIを実現するには、まず分析のもとになるデータをそろえる必要があります。ところが会社のデータは、営業部・製造部・物流部といった部署ごとにバラバラに散らばっているのが普通です。これを1か所に集めた「データの倉庫」がデータウェアハウスです。
企業経営の意思決定を支援するために、目的別に編成された、時系列データの集まりを何というか。
(出典:ITパスポート試験 平成26年秋期 問16 正解選択肢ア「データウェアハウス」)
ウェアハウス(warehouse)は英語で「倉庫」という意味です。つまり、部署や時期を超えてバラバラに存在するデータを1か所にまとめておく倉庫、とイメージするとぴったりです。
ポイントは「時系列データ」という部分です。ふだん業務で使うシステムは、動作を軽く保つために古いデータを消してしまうこともあります。一方でデータウェアハウスは、過去から現在までのデータをためこんで、時期をまたいだ比較に使います。だからこそ古いデータもわざと残しておくのです。
そのため、データウェアハウスはふだんの業務システムとは切り離し、分析専用の環境として運用されることが多くあります。日々の受注や在庫の処理を止めずに、じっくりデータを分析したいからです。倉庫が工場とは別の場所に建っているのと同じイメージです。
ちなみに、このデータウェアハウスという考え方を提唱したのは、米国のビル・インモンという人物で、「データウェアハウスの父」と呼ばれています。ばらばらのデータを統合して意思決定に使う、という発想は、じつは半世紀ほど前から議論されてきたものなのです。
試験でのポイント: 「意思決定」「目的別」「時系列データ」という言葉が出てきたらデータウェアハウスを思い出す。
データマイニング
倉庫にデータをためただけでは、まだ宝の持ち腐れです。ためたデータを分析して、人が気づかなかった規則性を掘り当てる——この作業がデータマイニングです。
蓄積された販売データなどから、天候と売れ筋商品の関連性などの規則性を見つけ出す手法を表す用語はどれか。
(出典:ITパスポート試験 平成28年秋期 問27 正解選択肢ウ「データマイニング」)
マイニング(mining)は英語で「採掘」という意味です。鉱山から金を掘り出すように、データの山から価値ある規則性を掘り出す、というわけです。冒頭で紹介した「ビールとおむつ」も、まさにデータマイニングの例え話です。人間の勘では気づきにくい、意外な関係を見つけ出すのがこの技術の得意分野です。
なお、あの「隣に並べたら売上が急増した」という劇的な後日談は、じつは脚色が多い逸話として知られています。とはいえ、大量の購買データから思わぬ相関を掘り出す、というイメージそのものはデータマイニングをよく表しています。
データウェアハウス(ためる)とデータマイニング(掘り出す)は、セットで問われることがよくあります。覚え方は、倉庫にためるのがウェアハウス、そこから宝を掘るのがマイニングです。BI・データウェアハウス・データマイニングの関係を1本の流れにすると、次のようになります。
| 段階 | キーワード | やること |
|---|---|---|
| ためる | データウェアハウス | 各部署のデータを1か所に統合する |
| 掘り出す | データマイニング | 統計やAIで規則性・関係性を見つける |
| 生かす | BI | 分析結果を経営や事業推進に役立てる |
試験でのポイント: 「規則性」「関連性を見つけ出す」ときたらデータマイニング。ためる(ウェアハウス)と掘る(マイニング)を混同しない。
過去問に挑戦
それでは、実際の過去問を1問解いてみましょう。3つのキーワードの関係が頭に入っていれば、自信をもって選べるはずです。
腕試し問題
出典:ITパスポート試験 令和2年度 問7
蓄積されている会計、販売、購買、顧客などの様々なデータを、迅速かつ効果的に検索、分析する機能をもち、経営者などの意思決定を支援することを目的としたものはどれか。
解答と解説
正解はアです。
正答の理由
「様々なデータを検索、分析し、経営者の意思決定を支援する」がキーワードです。データを分析して経営に生かす考え方がBIでした。それを実現する道具がBIツールです。問題文の説明は、まさにBIツールの役割そのものです。
誤答の解説
- ❌ イ「POSシステム」→ レジで販売データを記録・集計する仕組みです。データを集める道具であって、意思決定を支援する分析の道具ではありません
- ❌ ウ「電子ファイリングシステム」→ 書類を電子化して保管・検索する仕組みです。文書の整理が目的で、データ分析の道具ではありません
- ❌ エ「ワークフローシステム」→ 申請や承認などの業務の流れを電子化する仕組みです。手続きの効率化が目的で、分析の道具ではありません
ポイント
- 「データを検索・分析して意思決定を支援する」ときたらBI(BIツール)
- BIは「考え方」、BIツールはそれを実現する「道具」と押さえる
- 選択肢はどれも情報システムなので、目的(分析・記録・保管・手続き)で見分ける
まとめ
| キーワード | 一行まとめ |
|---|---|
| BI | データを分析し経営や事業推進に生かす「考え方」 |
| データウェアハウス | 部署や時期を超えてデータを1か所に統合する倉庫 |
| データマイニング | ためたデータから規則性・関連性を掘り出す手法 |
3つのキーワードは「ためる→掘り出す→生かす」という1本の流れで押さえると、まるごと得点源になります。試験ではこの3語が似た選択肢として並ぶことが多いので、それぞれの役割を動詞で言い換えられるようにしておきましょう。倉庫にためて、宝を掘って、経営に生かす——この順番を思い出せれば、もう迷いません。


