意思決定手法と在庫管理の総まとめ|5キーワードを過去問と具体例で学ぶ【ITパスポート】

会議で「そのアイデアはちょっと現実的じゃないよね」と言った瞬間、実はルール違反——ブレーンストーミングには、そう決められた場面があります。ITパスポート試験では、こうしたアイデア出しの手法から、お店の裏側で毎日動いている在庫管理のしくみまでが出題されます。この記事では「意思決定手法と在庫管理」の5つのキーワードを、身近な例と過去問で整理し、試験で迷わない区別のしかたまで解説します。
この記事で学べるキーワード
| 分類 | キーワード | ひとこと |
|---|---|---|
| 意思決定・問題解決手法 | ブレーンストーミング | 批判せず量を出すアイデア会議 |
| 在庫管理 | 定期発注方式 | 決まった間隔で毎回量を計算 |
| 定量発注方式 | 減ったら決まった量を発注 | |
| リードタイム | 発注してから届くまでの時間 | |
| 安全在庫 | 品切れを防ぐ最低限の在庫 |
前半はアイデアを出す手法、後半はお店やメーカーの在庫管理の話です。まずは表で全体像をながめてから読み進めてみてください。
意思決定・問題解決手法
ブレーンストーミング
新しい企画を考える会議で、だれかが突拍子もない案を出したら、つい「それは無理では」と言いたくなるものです。ところがブレーンストーミングでは、その「突拍子もなさ」こそが歓迎されます。
ブレーンストーミングとは、複数人が集まり、お互いの意見を批判せず、質より量を重視して自由に意見を出し合うことで、アイデアを生み出していく技法です。略して「ブレスト」とも呼ばれます。
この手法には、覚えておきたい4つの原則があります。簡単にいうと「①批判しない ②自由奔放を歓迎する ③質より量 ④人の案に乗っかって発展させる」の4つです。試験で問われるのは、とくに前半の2つ、つまり批判しないことと質より量の考え方です。
ちなみにブレーンストーミングという言葉を広めたのは、アレックス・オズボーンという人物です。有名な広告代理店BBDOの共同創業者で、社名の頭文字の「O」が彼にあたります。1953年の著書『Applied Imagination(応用イマジネーション)』で、この会議手法を紹介しました。もともと、たくさんの広告アイデアをすばやく出すための工夫だったわけです。「批判しない・量を出す」という原則が、広告の現場から生まれたと知ると、少し身近に感じられるのではないでしょうか。
試験でのポイント: 「批判しない」「質より量」に反する選択肢は、すべて誤りと判断する。
在庫管理
ここからは、お店やメーカーが「何を・いつ・どれだけ」仕入れるかを決める在庫管理の話です。似た名前の用語が続くので、違いを意識しながら読んでみてください。
定期発注方式
定期発注方式とは、週1回や月1回など、決まった間隔で、毎回発注する数量を計算して発注する方式です。つまり「発注するタイミングは固定、数量は毎回考える」やり方です。
この方式が向いているのは、消費期限が決まっている商品や、需要が予測しづらい商品、単価が高い商品です。たとえばスーパーの生鮮食品のように、売れ行きが読みにくく、余らせると損失が大きいものは、そのつど売れ具合を見ながら数量を決めたほうが安心できます。
試験でのポイント: タイミングが決まっていて、数量を毎回計算するのが定期発注。
定量発注方式
定量発注方式とは、在庫が一定数を下回ったときに、あらかじめ決めた数量を発注する方式です。定期発注方式とは逆に「数量は固定、タイミングは在庫しだい」というやり方になります。
この方式が向いているのは、劣化しにくい商品、需要が安定している商品、単価が低い商品です。たとえばネジや文房具のように、いつも一定のペースで売れて、多少ストックしても困らないものが当てはまります。在庫が減ったら決まった数を足すだけなので、手間がかかりません。
では、発注する数量はどうやって決めるのでしょうか。ここで登場するのが**経済的発注量(EOQ:Economic Order Quantity)**という考え方です。発注にかかる費用と、在庫を保管しておく費用は、片方を減らすともう片方が増える関係にあります。この2つの合計が最も小さくなる発注量が、最適な発注量とされます。実はこの考え方、1913年にF.W.ハリスという技術者が提案したもので、100年以上も使われ続けている定番の理論です。
定期発注方式との違いは、次の表で整理しておきましょう。
| 観点 | 定期発注方式 | 定量発注方式 |
|---|---|---|
| 発注するタイミング | 決まった間隔(週1回など) | 在庫が一定数を下回ったとき |
| 発注する数量 | 毎回計算する | 決めた数量で固定 |
| 向いている商品 | 消費期限あり・需要が不安定・高単価 | 劣化しにくい・需要が安定・低単価 |
覚え方は、「定期」は時間を固定、「定量」は量を固定です。名前の漢字がそのままヒントになっています。
試験でのポイント: 「決められた同じサイクルで発注」とあれば定期発注、「在庫が減ったら一定量」とあれば定量発注。
リードタイム
リードタイムとは、商品やサービスを発注してから、実際に納品されるまでにかかる時間や日数のことです。簡単にいうと「頼んでから届くまでの待ち時間」です。
たとえば、あるお店が商品を発注してから届くまでに1週間かかるなら、リードタイムは1週間です。この待ち時間のあいだも商品は売れていくので、発注した時点で、少なくとも届くまでの1週間分の在庫を持っていないと品切れになってしまいます。リードタイムは、次の安全在庫の考え方とセットで登場することが多い用語です。
なお、この言葉は製造や開発など別の分野でも出てきますが、おおむねの意味は「何かを始めてから終わるまでの所要時間」で共通しています。
試験でのポイント: リードタイム=発注から納品までの時間。長いほど、多めの在庫が必要になる。
安全在庫
安全在庫とは、天候の変化や急な需要の増加などで品切れが起きないように、最低限確保しておく在庫量のことです。「予想外に売れたとき用の予備」と考えるとイメージしやすいかもしれません。
関連して、覚えておきたい言葉が2つあります。文字どおり需要量を超えて余っている在庫が過剰在庫、そして安全在庫と過剰在庫のあいだにある、ちょうどよい量の在庫が適正在庫です。少なすぎると品切れ、多すぎると保管コストがかさむため、企業はこの適正在庫をねらって在庫を管理しています。
試験でのポイント: 安全在庫=品切れを防ぐための最低限の予備在庫。多すぎる在庫(過剰在庫)とは別物。
過去問に挑戦
それでは、実際の過去問を1問解いてみましょう。ここまでの定期発注方式と定量発注方式の違いが頭に入っていれば、迷わず選べるはずです。
腕試し問題
出典:ITパスポート試験 令和5年度 問24
需要量が年間を通じて安定している場合において、定量発注方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。
解答と解説
正解はアです。
正答の理由
定量発注方式では、発注する数量をあらかじめ決めておきます。その最適な数量は、発注にかかる費用と在庫を保管する費用の合計が最も小さくなる量、つまり経済的発注量(EOQ)です。アはこの考え方をそのまま述べているため、正しい記述です。
誤答の解説
- ❌ イ「発注回数が多い方が保管スペースを広くする必要がある」→ 発注回数が多いと、1回あたりの発注量は少なくなります。よって保管スペースはむしろ狭くて済み、記述は逆です
- ❌ ウ「決められた同じサイクルで発注する」→ これは決まった間隔で発注する定期発注方式の説明です
- ❌ エ「毎回需要予測に基づき発注する」→ これも毎回数量を計算する定期発注方式の特徴で、定量発注方式には当てはまりません
ポイント
- 定量発注方式=在庫が減ったら「一定量」を発注する(タイミングは在庫しだい)
- 最適な発注量=発注費用と在庫維持費用の合計が最小になる量(経済的発注量)
- 「決まったサイクル」「毎回需要予測」とあれば定期発注方式のこと
まとめ
| キーワード | 一行まとめ |
|---|---|
| ブレーンストーミング | 批判せず質より量でアイデアを出す会議手法 |
| 定期発注方式 | 決まった間隔で、毎回数量を計算して発注 |
| 定量発注方式 | 在庫が減ったら、決めた数量を発注 |
| リードタイム | 発注してから納品されるまでの時間 |
| 安全在庫 | 品切れを防ぐために確保する最低限の在庫 |
似た用語が並ぶテーマですが、ブレストは「批判しない・量」、発注方式は「定期=時間を固定/定量=量を固定」の対比で整理すれば怖くありません。とくに定期発注と定量発注の違いは頻出なので、試験の直前にもまとめの表を見返して、どちらがどちらかを言えるようにしておきましょう。


