利益と損益分岐点の総まとめ|6キーワードを過去問と具体例で学ぶ【ITパスポート】

商品を1個200円で5万個売って、300万円もうかった——このとき「1個あたりのコスト」はいくらでしょうか。ITパスポート試験の会計・財務では、こうした「もうけ」と「費用」の関係を問う計算問題がくり返し出題されています。この記事では、売上総利益や損益分岐点など6つのキーワードを、身近な例と過去問で整理し、苦手になりやすい計算の解き方まで解説します。
この記事で学べるキーワード
| 分類 | キーワード | ひとこと |
|---|---|---|
| 利益の指標 | 売上総利益 | 本業のざっくりした利益 |
| 営業利益 | 本業の実力を示す利益 | |
| 費用と損益分岐点 | 損益分岐点 | もうけがゼロになる売上高 |
| 変動費 | 売上に比例して増える費用 | |
| 固定費 | 売上に関係なくかかる費用 | |
| 変動費率 | 売上に占める変動費の割合 |
数式が並ぶと身構えてしまうかもしれませんが、覚えることは多くありません。まずは表で全体像をながめて、順番に見ていきましょう。
利益の指標
会社が「もうかっているか」を測る利益には、いくつかの種類があります。ここでは試験でよく問われる2つを押さえます。
売上総利益
ケーキ屋さんが1個500円のケーキを売ったとします。材料費や焼くための費用が1個200円かかっていれば、手元に残るのは300円です。この「売った金額から、仕入れや製造にかかった費用を引いたもうけ」が売上総利益です。
仕入れや製造に直接かかった費用のことを、売上原価と呼びます。売上総利益は、売上高から売上原価を引いて求めます。
売上総利益は「粗利(あらり)」とも呼ばれます。「粗い(あらい)」という字のとおり、こまかい経費を引く前の、ざっくりしたもうけという意味合いです。本業の商品やサービスで、大づかみにどのくらい稼げているかを知りたいときに見る指標です。
試験でのポイント: 売上総利益(粗利)=売上高−売上原価。まず出てくる、いちばん基本の利益です。
営業利益
売上総利益からさらに、本業を回すためにかかった費用を引いたものが営業利益です。
引く費用は「販売費及び一般管理費」で、略して「販管費(はんかんひ)」と呼びます。簡単にいうと、商品を売るための費用(広告費など)と、会社を維持するための費用(家賃や事務スタッフの給料など)をまとめたものです。
営業利益は、会社が本業でどれだけ稼ぐ力を持っているかを示す指標とされています。売上総利益が「ざっくりしたもうけ」なら、営業利益は「本業の実力」を表すもうけ、と覚えておくとよいのではないでしょうか。
試験でのポイント: 営業利益=売上総利益−販管費(販売費及び一般管理費)。売上高から順に費用を引いていく流れで覚える。
なお、ここで出てきた売上原価・販売費・一般管理費は、どこに分類されるか迷いやすい費用です。実は同じ人件費でも、どんな仕事をしている従業員かで分類が変わることがあります。製造ラインで働く人の給料は売上原価、販売スタッフの給料は販売費、本社の事務スタッフの給料は一般管理費、という具合です。試験では細かい内訳までは問われにくいので、「売上原価」と「販管費」を区別できれば十分です。
費用と損益分岐点
ここからは、利益を伸ばすうえで欠かせない「費用」と「損益分岐点」の話に進みます。
変動費
まず費用は、大きく2種類に分けられます。1つ目が変動費です。
変動費とは、売上高に比例して増える費用のことです。たとえばケーキをたくさん焼くほど材料費は増えます。この材料費や仕入れ費用が変動費の代表例です。
繁忙期の残業代やアルバイトの人件費のように、売上に連動して増える性質の人件費も、変動費に分類されることがあります。
試験でのポイント: 変動費=作れば作るほど、売れば売るほど増える費用。
固定費
2つ目が固定費です。固定費とは、売上高に関係なく一定でかかる費用のことです。
ケーキが1個も売れない月でも、お店の家賃は毎月かかります。この家賃や、正規社員の給料などが固定費の代表例です。売上がゼロでも発生する費用、とイメージするとわかりやすいかもしれません。
覚え方は、**「作った量で変わるのが変動費、作らなくてもかかるのが固定費」**です。この対比を押さえると、次の損益分岐点の計算がぐっと楽になります。
試験でのポイント: 固定費=売上に関係なく一定でかかる費用(家賃・正規社員の給料など)。
変動費率
変動費の大きさを測るものさしが変動費率です。変動費率とは、売上高に占める変動費の割合のことで、次の式で求めます。
- 変動費率 = 変動費 ÷ 売上高
たとえば売上高1,000万円のうち変動費が400万円なら、変動費率は0.4(40%)です。この割合は、あとで損益分岐点を計算するときに使います。
試験でのポイント: 変動費率=変動費÷売上高。損益分岐点の計算で使う「部品」として覚える。
損益分岐点
いよいよ本命の損益分岐点です。損益分岐点とは、売上高と費用の額がちょうど等しくなる売上高(または販売数量)のことです。つまり、もうけがちょうどゼロになる分かれ目の売上高です。
英語では Break Even Point、略してBEPと呼びます。break even は「損も得もなくトントンの状態」という意味で、まさに黒字と赤字の境目を言い表した名前です。これより売上が多ければ黒字、少なければ赤字になります。
利益は、次のように売上高から2種類の費用を引いて求められます。
- 利益 = 売上高 − 固定費 − 変動費
損益分岐点は利益がゼロになる点なので、この式の利益を0とおいて売上高を求めます。変動費を「売上高×変動費率」に置きかえて整理すると、次の公式が導けます。
- 損益分岐点の売上高 = 固定費 ÷ (1 − 変動費率)
公式を丸暗記するより、「利益=売上高−固定費−変動費」という土台の式から組み立てられるようにしておくと、応用問題にも対応できます。
試験でのポイント: 損益分岐点=もうけがゼロになる売上高。まず「利益=売上高−固定費−変動費」を書き、利益を0にして解く。
過去問に挑戦
実際の過去問を1問解いてみましょう。冒頭で紹介したケーキ屋さんの話と同じ考え方で解けます。ここまでの内容が頭に入っていれば、落ち着いて計算できるはずです。
腕試し問題
出典:ITパスポート試験 平成23年秋期 問6
単価200円の商品を5万個販売したところ、300万円の利益を得た。固定費が300万円のとき、商品1個当たりの変動費は何円か。
計算問題は苦手意識を持たれやすいですが、解き方さえ覚えれば確実に得点できる問題です。一度、自分で紙に書いて計算してみてください。
解答と解説
正解はイです。
正答の理由
まず売上高は、単価200円×5万個=1,000万円です。次に「利益=売上高−固定費−変動費」の式に当てはめます。300万円(利益)=1,000万円(売上高)−300万円(固定費)−変動費より、変動費の合計は400万円です。これを1個あたりに直すと、400万円÷5万個=80円となり、イが正解です。
誤答の解説
- ❌ ア「60」→ 変動費合計が60×5万=300万円となり、利益が1,000−300−300=400万円で、条件の300万円と合いません
- ❌ ウ「100」→ 変動費合計が500万円となり、利益は200万円で条件と合いません
- ❌ エ「140」→ 変動費合計が700万円となり、利益は0円で条件と合いません
ポイント
- 利益=売上高−固定費−変動費(土台の式をまず書く)
- 変動費は「合計」で求めてから「1個あたり」に直す
- 変動費:売上に比例/固定費:売上に関係なく一定
まとめ
| キーワード | 一行まとめ |
|---|---|
| 売上総利益 | 売上高−売上原価。本業のざっくりした利益(粗利) |
| 営業利益 | 売上総利益−販管費。本業の実力を示す利益 |
| 損益分岐点 | 売上高と費用が等しくなる、もうけゼロの売上高 |
| 変動費 | 売上に比例して増える費用(材料費など) |
| 固定費 | 売上に関係なく一定でかかる費用(家賃など) |
| 変動費率 | 変動費÷売上高。損益分岐点の計算に使う割合 |
会計・財務は、用語と式さえ整理すれば確実に点が取れる分野です。とくに損益分岐点は「利益=売上高−固定費−変動費」の1本の式から組み立てられます。まずはこの式を手で書けるようにして、過去問で計算の流れに慣れておきましょう。


