シカラボ

バランススコアカードの4つの視点|財務だけでは足りない理由【ITパスポート】

シカラボ編集部
バランススコアカードの4つの視点|財務だけでは足りない理由【ITパスポート】

今月の売上が伸びた会社と、社員の資格取得が進んだ会社。半年後に強いのはどちらでしょうか。売上はもちろん重要ですが、それだけで将来的な会社の成長性まで測ることはできないはずです。もうけの数字だけを見ていると、社員が育っていることは評価に表れません。この偏りを直すために作られたのがバランススコアカードです。ITパスポート試験では、4つの視点を見分けさせる形で繰り返し出ています。

バランススコアカードとは

バランススコアカード(BSC)とは、4つの視点から目標を立てて成果を評価する手法です。

企業のビジョンや戦略を実現するために、“財務”、“顧客”、“業務プロセス”、“学習と成長”の四つの視点から、具体的に目標を設定して成果を評価する手法はどれか。

(出典:ITパスポート試験 平成31年春期 問7)

この問題の正解がウ「バランススコアカード」です。つまり4つの視点の名前は、そのまま試験に出てきます。

何のためにそうするのかも、別の年度が答えています。

財務的尺度だけでなく、非財務的尺度からも業績評価を行う。

(出典:ITパスポート試験 平成28年秋期 問13)

簡単にいうと、会社のもうけを表す数字と、それ以外の面(顧客からの評価・社内のやり方・人の育ち)を、両方そろえて見るということです。「バランス」はここから来ています。

ひとつ、試験で戸惑いやすい点があります。IPAは業務プロセスの視点を「業務プロセス(内部ビジネスプロセス)の視点」と併記することがあります。令和4年の問19がその書き方です。呼び名が2つあるだけで中身は同じなので、面食らわないようにしておきましょう。

具体例でイメージをつかむ

4つの視点は、それぞれ測るものが違います。指標の例を並べてみましょう。

視点何を見るか指標の例
財務もうけと効率利益率、売上高
顧客顧客からどう見えているか顧客満足度、市場占有率
業務プロセス社内の仕事のやり方歩留り率、製造リードタイム
学習と成長人と組織の育ち方資格取得者数、研修の実施状況
財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4つの視点と、それぞれの指標の例を並べた図

たとえば、部品製造会社が不良品を減らすために歩留り率を指標にしたとします。これは社内の作り方の話なので、業務プロセスの視点にあたります。平成26年春期の問23がまさにこの設定です。

令和4年の問19も同じ考え方です。製造販売業A社の戦略テーマを4つ並べ、業務プロセス(内部ビジネスプロセス)の視点にあたるものを選ばせています。社内の作り方に手を入れるテーマかどうかが分かれ目になります。

見分けるコツは、その指標が「誰から見た」ものかを考えることです。会社のもうけ(利益や売上)なら財務、外から見た評価なら顧客、社内のやり方なら業務プロセス、人の育ちなら学習と成長。この4分類で、たいていの指標は振り分けられます。

ただし、金額の話がすべて財務になるわけではありません。平成30年春期の問29は、航空会社の戦略目標「競合路線内での最低料金の提供」がどの視点かを問い、正解は顧客の視点でした。料金は金額ですが、競合より安くして顧客に選ばれるための目標なので、会社のもうけではなく顧客から見た魅力にあたります。

なお、戦略目標を立てたあとに明確化するものも問われます。平成30年秋期の問18では、戦略目標ごとに明確化する事項として重要成功要因が正解になっています。目標を決めて終わりではなく、「何がうまくいけば達成できるのか」まで詰める、という流れです。重要成功要因は英語の頭文字を取ってCSF(Critical Success Factor)とも呼ばれ、選択肢に略語だけで並ぶこともあります。

SWOT分析・PPMとの違い

平成31年春期の問7では、誤答としてPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)・SWOT分析・マーケティングミックスが並びました。どれも経営戦略の手法なので、目的で区別しておきましょう。

手法何をするものか
バランススコアカード4つの視点で目標を立て、成果を評価する
SWOT分析強み・弱み・機会・脅威の4つで、自社と事業環境を整理する
PPM事業や製品を市場の成長率と占有率で分類し、資源配分を考える
マーケティングミックス製品・価格・流通・販売促進の組合せを考える
バランススコアカードは評価の枠組み、SWOT分析は現状の整理、PPMは資源配分の判断という目的の違いを並べた図

どれも「4つの何か」が出てくるので混ざりやすいところです。覚え方は「評価するのがBSC、整理するのがSWOT、配分を決めるのがPPM」。BSCだけが成果を測る側の手法だと押さえておきましょう。

試験ではこう出る

よく出るのは次の2つです。手法の名前を選ばせる形と、指標がどの視点にあたるかを判断させる形です。まずは名前を選ぶ形からどうぞ。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 平成27年秋期 問27

企業の経営を、財務的な業績からだけでなく顧客、業務プロセス、学習と成長といった側面から分析評価し、戦略の策定に結び付けようとする手法はどれか。

解答と解説

解説(解答せずに開けます)

正解はアです。

財務以外の側面まで並べて分析評価する、という説明が出てきたらこの手法で確定します。この問題のように略語だけが選択肢に並ぶ形もあるので、BSCという表記にも慣れておきましょう。

  • ❌ イ「CSF」→ 重要成功要因(Critical Success Factor)のことです。戦略目標を達成する鍵になる要因を指し、評価の枠組みそのものではありません
  • ❌ ウ「PPM」→ 市場の成長率と占有率で事業を分類する手法です
  • ❌ エ「SWOT分析」→ 強み・弱み・機会・脅威で自社と環境を整理する手法です

もう1問、視点を判断する形も解いてみましょう。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 令和4年度 問19

製造販売業A社は、バランススコアカードの考え方を用いて戦略テーマを設定した。業務プロセス(内部ビジネスプロセス)の視点に基づく戦略テーマとして、最も適切なものはどれか。

解答と解説

解説(解答せずに開けます)

正解はエです。部品の共有化は社内の作り方を変える話なので、業務プロセス(内部ビジネスプロセス)の視点にあたります。アの売上高の拡大は財務、イの顧客ロイヤルティは顧客、ウの従業員の技術力強化は学習と成長です。選択肢が4つの視点に1つずつ対応しているのが、この型の特徴になります。

まとめ

  • バランススコアカードは、財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4つの視点で目標を立て、成果を評価する手法
  • ねらいは財務的尺度だけでなく、非財務的尺度からも業績評価を行うこと
  • 業務プロセスの視点は「内部ビジネスプロセス」と併記されることがある。同じものを指す
  • 指標の振り分けは「誰から見たものか」で考える。会社のもうけ=財務、外からの評価=顧客、社内のやり方=業務プロセス、人の育ち=学習と成長。料金の話でも、顧客に選ばれるための目標なら顧客の視点
  • 戦略目標ごとに重要成功要因(CSF)を明確化するところまでが出題範囲

視点の名前を4つ言えるようにしておくと、判断させる形の問題はほぼ落とさなくなります。まずはそこから固めてみてください。

この記事のタグ

関連記事