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特許法と著作権法の違い|登録がいるか、何を守るかで見分ける【ITパスポート】

シカラボ編集部
特許法と著作権法の違い|登録がいるか、何を守るかで見分ける【ITパスポート】

同じ発明を二つの会社が別々に完成させたとき、特許権はどちらのものになるでしょうか。答えは「発明した順」ではなく、原則として「先に出願したほう」です。創作した時点で生まれる著作権と、出願と登録を経て生まれる特許権——この線引きが繰り返し問われます。

特許法とは

特許法とは、産業上利用できる新しい発明を、独占的に使える権利を定めた法律です。定義は平成28年秋期の問21が穴埋めの形で書いています。

特許権とは[a]を独占的・排他的に利用できる権利であり、我が国の法律では[b]に与えられる権利である。

a=産業上利用することができる新規の発明、b=最初の出願者

(出典:ITパスポート試験 平成28年秋期 問21)

簡単にいうと、産業で役に立つ新しい発明を、先に出願した人が独り占めできるようにする法律です。誤答として置かれたのは b=「最初の発明者」でした。発明した順ではなく出願した順、というところが試されています。

なお、これはこの過去問が並べた組合せです。実際の審査では、ここに挙がっていない要件も見られます。

権利が続く期間も問われます。平成30年春期の問16は正解を出願日から20年としました。ただし設問には「存続期間の延長登録をしないものとする」という条件が付きます。

シラバス上はストラテジ系の「法務」>「知的財産権」で、ビジネスモデル特許も同じ小分類です。まずは「先に出願した人が独り占め」と覚えておきましょう。

具体例でイメージをつかむ

たとえば新製品の開発で生まれる成果のうち、どれが特許法の対象になるのかを令和2年の問16が並べました。対象となり得るものとして選ばれたのは次の記述だけです。

機能を実現するために考え出された独創的な発明

(出典:ITパスポート試験 令和2年 問16)

残る2つは「新製品の形状、模様、色彩など、斬新的な発想で創作されたデザイン」と「新製品発表に向けて考え出された新製品のブランド名」で、どちらも選ばれていません。特許法が受け持つのは「発明」と押さえておきましょう。

新製品の開発で生まれる成果から過去問が並べた3つのうち、独創的な発明だけが特許法の対象になり得るものとして選ばれ、デザインとブランド名は選ばれなかったことを示した図

もうひとつ、以前よく出ていたのがビジネスモデル特許です。シカラボの収録問題では、新しいビジネスモデルを守る法律・権利を選ばせる形が4回ありました。平成22年春期 問7・平成23年秋期 問20・平成24年秋期 問9・平成25年春期 問11 で、正解はどれも特許法または特許権でした。平成27年春期以降の16回には見当たりません(2026年9月16日に集計)。

平成24年秋期の問9は「考案し、コンピュータシステムとして実現した」場面を描いています。平成22年春期の問7も「コンピュータを活用した新しいビジネスモデルを構築した」でした。考えついたやり方を、コンピュータの仕組みとして形にしたところが題材になっています。ただし、ITで実現すれば必ず特許になるわけではありません。過去問が聞いているのは、並んだ選択肢のうちどれが対象になり得るかです。

著作権法との違い

特許法と取り違えやすいのが著作権法です。正面から比べる問題もあります。観点ごとに並べましょう。

観点特許法(特許権)著作権法(著作権)
守るもの産業上利用することができる新規の発明思想又は感情を創作的に表現したもの(文芸・学術・美術・音楽の範囲。プログラムも含む)
権利が生まれるとき設定の登録によって発生する創作した時点。申請や登録の手続はいらない
産業財産権か産業財産権にあたる産業財産権にあたらない
続く期間出願日から20年(延長登録をしない場合)原則として著作者の死後70年
特許法と著作権法を、守るもの・手続がいるかどうか・産業財産権かどうかという3つの観点で並べた比較図

2行目の手続がいるかどうかは、そのまま1問になっています。平成21年春期の問15は「知的財産権のうち、権利の発生のために申請や登録の手続を必要としないもの」を問い、正解を著作権としました。意匠権・実用新案権・特許権は、手続がいる側に置かれています。

3行目もそのまま問題になります。平成24年春期の問29は「特許庁が定める産業財産権に属さない権利」として著作権を正解にしました。平成28年春期の問23では、意匠権・実用新案権・特許権の組合せが正解でした。

覚え方は、それぞれの法律の第一条から作れます。特許法が掲げるのは「産業の発達」、著作権法は「文化の発展」です(参考: e-Gov法令検索、2026年8月28日取得)。産業の特許法、文化の著作権法——こう並べると混ざりにくくなります。

試験ではこう出る

押さえたいのは、著作権と特許権の違いを判断させる形です。先にビジネスモデル特許の対象を選ばせる古い形を1問解いておきましょう。どれが対象になり得るかを考える練習になります。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 平成26年秋期 問27

ビジネスモデル特許として、特許法に基づく特許権が認められる対象となるものはどれか。

解答と解説

解説(解答せずに開けます)

正解はアです。

「顧客の要望に合わせてPCをカスタマイズできる、ITを利用した新たな受注の仕組み」が、この4つの中で対象になり得るものとして選ばれました。

  • ❌ イ「コンピュータを利用して作成した、新製品の設計ドキュメント」→ 作られるのは書類で、新しいビジネスモデルとは読めません
  • ❌ ウ「自社の専用サーバで稼働していたプログラムをクラウドコンピューティングにそのまま移し替えたもの」→ 「そのまま移し替えた」とあり、新しさが見当たりません
  • ❌ エ「大規模で複雑なモデルの解析を高速に行うために開発された高性能コンピュータ」→ 装置そのものであって、ビジネスのやり方ではありません

次は、著作権との違いを問う形です。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 令和4年度 問1

著作権及び特許権に関する記述a~cのうち、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a偶然二つの同じようなものが生み出された場合、発明に伴う特許権は両方に認められるが、著作権は一方の著作者にだけ認められる。 bソフトウェアの場合、特許権も著作権もソースプログラムリストに対して認められる。 c特許権の取得には出願と登録が必要だが、著作権は出願や登録の必要はない。

解答と解説

解説(解答せずに開けます)

正解はエです。適切とされたのは記述cだけでした。

  • ✅ c「特許権の取得には出願と登録が必要だが、著作権は出願や登録の必要はない。」→ 平成21年春期の問15と同じ線引きです
  • ❌ a「偶然二つの同じようなものが生み出された場合、発明に伴う特許権は両方に認められるが、著作権は一方の著作者にだけ認められる。」→ 記述の全体が不適切とされました。特許権は「最初の出願者」に与えられます(平成28年秋期 問21)。後半の著作権についても不適切とされていますが、ここでは特許権の側だけを見ておきます
  • ❌ b「ソフトウェアの場合、特許権も著作権もソースプログラムリストに対して認められる。」→ ソースプログラムに著作権は認められます(令和7年 問30 でも著作権法の対象に選ばれました)。特許法が守るのは「産業上利用することができる新規の発明」で、不適切なのは特許権の側です

手続がいるのが特許権、いらないのが著作権です。

まとめ

  • 特許法は、産業上利用することができる新規の発明を独占的・排他的に利用できる権利を定めた法律
  • 特許権は最初の出願者に与えられ、存続期間は出願日から20年(延長登録をしない場合)
  • 新しいビジネスのやり方をコンピュータの仕組みとして形にした場面が、ビジネスモデル特許の対象になり得るものとして問われた(平成22〜26年の出題)
  • 著作権は申請や登録の手続がいらず、特許庁が定める産業財産権にも入らない
  • 目的も違う。産業の発達をめざす特許法、文化の発展をめざす著作権法

「何を守るのか」と「手続がいるのか」を紐づけておけば、どの形でも迷いにくくなるはずです。

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