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DFDとE-R図の違い|流れを描く図と、構造を描く図【ITパスポート】

シカラボ編集部
DFDとE-R図の違い|流れを描く図と、構造を描く図【ITパスポート】

業務のしくみを図にしよう、というとき、描き方はひととおりではありません。何に注目するかで図の種類が変わるからです。データが「どこからどこへ動くか」を追いたいのか、データが「どういう形で持たれているか」を知りたいのか。前者を描くのがDFDです。ITパスポート試験では、この描き分けを選択肢で判別させる形が繰り返し出ています。

DFDとは

DFD(Data Flow Diagram)とは、業務を構成する処理と、その間で受け渡されるデータの流れを示す図のことです。

業務を構成する処理と、その間で受け渡されるデータの流れを示す。

(出典:ITパスポート試験 平成22年春期 問14)

別の年度は、注目する対象のほうから説明しています。

データの流れに着目し、業務のデータの流れと処理の関係を表記する。

(出典:ITパスポート試験 平成29年春期 問14)

2つに共通するのは「データの流れ」と「処理」の2語です。まずはここを軸に覚えておきましょう。ただし言い回しは年度によって変わります。平成24年春期の問6は「プロセス間で受け渡されるデータの流れ」、平成26年春期の問15は「対象業務の処理過程と情報の流れ」でした。同じ2語がそのまま出るとは限りません。シラバス上はストラテジ系の業務プロセスに関わるキーワードですが、シカラボの分野分けでは企業と法務のカテゴリに入っています。

具体例でイメージをつかむ

たとえば、通販サイトの注文業務を描いてみましょう。

顧客から「注文」というデータが届き、受注処理を通って「受注データ」になります。それが出荷処理へ渡り、「出荷指示」として倉庫に流れていきます。この途中で、受注データは保管される場所にも書き込まれます。

  • 顧客 → 注文 → 受注処理
  • 受注処理 → 受注データ → 出荷処理
  • 受注処理 → 受注データ → 保管場所
顧客から届いた注文が受注処理を通り、受注データとして出荷処理と保管場所へ流れ、出荷処理からは出荷指示として倉庫へ流れていく様子を示した図。保管場所をデータストアと呼ぶことも示している

このデータが保管される場所をデータストアと呼びます。平成27年秋期の問8では、図のDFDに出てくるデータストアが何かを読み取らせる出題がありました。

DFDに書かれるものは、令和元年秋期の問9がそのまま整理しています。データフローと処理のほかに書かれるのは、データの蓄積場所とデータの発生源や出力先です。反対に、データの処理に要する時間は書かれません。

つまり、この図からは「注文データが何という項目でできているか」も「処理にどれくらい時間がかかるか」もわかりません。足りない情報は、別の図が受け持ちます。

E-R図・状態遷移図・クラス図との違い

平成29年春期の問14は、まさにこの描き分けを問う出題でした。誤答に並んだ3つが、そのまま比較の相手になります。表で並べておきましょう。

図何に注目するか
DFDデータの流れと処理の関係
E-R図実体(エンティティ)同士を関連付けた、データの構造
状態遷移図時間の経過や状況の変化にともなう、システムの状態の移り変わり
クラス図要素の属性や操作、要素同士の関係
DFDはデータの流れと処理の関係、E-R図は実体をつないだデータの構造、状態遷移図は状態の移り変わり、クラス図は要素の属性や操作に注目する、という違いを並べた図。まずDFDとE-R図の2つを固めるとよいことを示している

覚え方は「流れのDFD、関連のE-R図」です。過去問の言い回しで言うと、「データの流れ」ならDFD、「データの関連」「実体」ならE-R図。ただし「流れ」の一語だけではフローチャートなども当てはまるので、処理とセットで出てくるかまで見るほうが確実です。

なお状態遷移図とクラス図は、シカラボに収録されているITパスポートの過去問では正解になった問題が見当たりません(2026年9月時点)。平成29年春期の問14でも、この2つに当たる説明は誤答の側に並んでいます。まずはDFDとE-R図の区別を固めましょう。

なお、平成22年春期の問14では「業務を構成する処理の内容を、概要から詳細へと階層的に示す」も誤答として並びました。DFDにも階層をつけて詳細化する描き方はありますが、この問題が正解としているのは流れを示すほうの説明です。試験では、選択肢の中でより適切なものを選ぶことになります。

試験ではこう出る

よく出るのは次の2つです。DFDの説明として適切なものを選ばせる形と、図を見せて読み取らせる形です。前者は、上で引用した平成22年春期の問14と平成29年春期の問14がまさにその形でした。図を使う問題は演習ブロックに置けないので、ここでは少し角度を変えた2問を解いてみましょう。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 平成23年秋期 問3

業務分析を行うときに、DFDを用いて検討するのに適しているものはどれか。

解答と解説

解説(解答せずに開けます)

正解はエです。

DFDが描くのは処理と、その間を動くデータでした。そこから読み取れるのは、業務の流れの姿です。どこで手戻りが起きているか、同じデータを二度書いていないか。改善のとっかかりは、この流れの中に見つかります。

  • ❌ ア「業務のクリティカルパス」→ 作業の順序と所要日数から求めるもので、アローダイアグラムの領分です
  • ❌ イ「業務の作業コスト」→ 費用はDFDに書かれる要素ではありません
  • ❌ ウ「業務の作業日程」→ 日程はガントチャートなどで管理します

もう1問、仲間分けの形も解いてみましょう。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 令和4年度 問25

a~dのうち、業務プロセスの改善に当たり、業務プロセスを表記するために用いられる図表だけを全て挙げたものはどれか。 a DFD bアクティビティ図 cパレート図 dレーダチャート

解答と解説

解説(解答せずに開けます)

正解はアです。

並んだ4つのうち、業務プロセスを表記するために使われるのは、DFDとアクティビティ図です。アクティビティ図はUML(Unified Modeling Language)の図の一つで、業務の処理の流れを表します。どちらも流れを描く図という点で仲間です。

  • ❌ イ「a, c」→ パレート図は項目を件数の多い順に並べる図で、業務の流れは表しません
  • ❌ ウ「b, d」→ レーダチャートは複数の項目のバランスを見る図です
  • ❌ エ「c, d」→ どちらも分析の結果を見せる図で、業務プロセスの表記には使いません

流れや手順を描く図か、量を比べる図か。この問題は、ここで仕分けられます。

ただし、令和7年の問41のように、その技法を何に使うかで切る組合せ問題もあります。スケジュール作成に用いる技法を選ばせる形で、流れや手順の側で仕分けるとDFDもクリティカルパス法も残ってしまいます。正解はクリティカルパス法とプレシデンスダイアグラム法で、DFDは入りません。1問目と同じで、処理とデータの流れを示すDFDは、日程やコストの技法ではないからです。

まとめ

  • DFDは、業務を構成する処理と、その間で受け渡されるデータの流れを示す図
  • 説明に「データの流れ」と「処理」の2語がそろっていればDFD
  • データが保管される場所をデータストアと呼ぶ
  • E-R図はデータの構造、状態遷移図は状態の移り変わり、クラス図は属性や操作。注目する対象が違う
  • DFDに書かれるのはデータフローと処理のほか、データの蓄積場所とデータの発生源や出力先。処理に要する時間は書かれない

図の名前は似ていますが、注目する対象が違うので選択肢も書き分けられています。「データの関連」「実体」と書かれていればE-R図を疑ってください。残った選択肢がデータの流れと処理の関係を表しているかまで、最後に確かめましょう。

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