SaaSとは?PaaS・ASPなど似た4つのサービスとの関係を整理【ITパスポート】

会社の経費精算を、買い切りのソフトではなくブラウザから使うサービスで済ませている——そんな話を聞いたことはないでしょうか。機能をネットワーク越しに借りて使う、この形がSaaSです。ITパスポート試験ではPaaSやASPといった似た言葉と並べて出されるので、この記事では4つとの関係を過去問から整理します。
SaaSとは
SaaS(サース、Software as a Service)とは、ソフトウェアの機能をネットワーク経由でサービスとして提供する形態です。過去問はこう説明しています。
ソフトウェアの機能を複数の企業にインターネット経由でサービスとして提供し、使用料を課金する。
(出典:ITパスポート試験 平成21年春期 問6)
別の回では、こう説明しています。
利用者に対して、アプリケーションソフトウェアの必要な機能だけを必要なときに、ネットワーク経由で提供する。
(出典:ITパスポート試験 平成29年秋期 問11)
簡単にいうと、自分でソフトウェアを用意して動かす代わりに、事業者が提供する機能をネットワーク経由で借りて使う形です。2つの引用に共通するのも、そこです。「必要な機能だけ」という限定は、1本目にはありません。
SaaSはクラウドサービスの一つとしても問われます。
クラウドコンピューティング環境では、インターネット上にあるアプリケーションやサーバなどの情報資源を、物理的な存在場所を意識することなく利用することが可能である。
(出典:ITパスポート試験 平成27年春期 問20)
この問題の正解はSaaSでした。ソフトがどのサーバで動くかを、利用者は気にしなくてよいわけです。
シラバス上の位置も見ておきましょう。ストラテジ系「中分類6:システム戦略」の「ソリューションビジネス」に置かれています。同じ小分類にはPaaS・IaaS(Infrastructure as a Service)・ASP・ホスティングサービス・ハウジングサービスが並びます。試験でも、このうちのいくつかを選択肢に並べて比べさせる問題が出ます。
ちなみに、SaaSが問題文か正解の選択肢に出てくる過去問を数えました。ITパスポート試験の平成21年春期〜令和7年の28回では5問です。いずれも平成の回でした。
具体例でイメージをつかむ
たとえば、メールや表計算をブラウザだけで使う場面を思い浮かべてみてください。ソフトウェアを自分で用意して動かしてはいないのに、ログインすれば使えます。会社の勤怠管理にも同じ形があります。
平成21年春期 問6 が誤答として置いた形も、ヒントをくれます。誤答は「ソフトウェアをダウンロードさせる対価としてライセンス料を課金する。」でした。ダウンロードしてライセンス料を払う形は、この問題では選ばせたい答えではなかったのです。

平成21年春期 問6 の正解には「複数の企業に」という言葉も入っています。ひとつの企業だけでなく、複数の企業を利用者にする形だと読めます。同じ文が課金についても「使用料を課金する」と書いていました。
「必要なときに」という言い回しも見逃せません。必要になったときに使えばよい、という含みです。
PaaS・ASP・ホスティング・ハウジングとの切り分け
平成23年秋期 問5 は、3つの説明とサービス名を組み合わせる問題です。問題文はこうです。
a 自社のサーバや通信機器を専門業者の施設内に預けて使用する。
b 専門業者の通信設備やサーバの一部を利用者が利用できる。
c ソフトウェアの必要な機能だけを必要時に、利用者がネットワーク経由で利用できる。
(出典:ITパスポート試験 平成23年秋期 問5)
正解はイで、a=ハウジング、b=ホスティング、c=SaaSでした。自分の機器を預けるのがハウジング、業者の設備を借りるのがホスティングです。
PaaSはPlatform as a Serviceの略です。その説明を選ばせる形は、同じ28回のITパスポート試験には見当たりませんでした。情報セキュリティマネジメント試験にはあります。
利用者は、サービスとして提供されるOSやデータベースシステム、プログラム言語処理系などを組み合わせて利用することができる。
(出典:情報セキュリティマネジメント試験 平成30年春期 問45)
借りるものが、ソフトウェアの機能ではなく、その土台のほうです。ここがSaaSとの差になります。
ややこしいのがASP(Application Service Provider)です。
サーバ上のアプリケーションソフトウェアを、インターネット経由でユーザに提供する事業者、又はそのサービス形態
(出典:ITパスポート試験 平成22年春期 問13)
SaaSの説明とよく似ているのではないでしょうか。SaaSとASPの差そのものを問う問題は、同じ28回では見当たりませんでした。借りるものはどちらもソフトウェアの機能、と押さえておけば足ります。

覚え方は「場所を借りるハウジング、設備を借りるホスティング、機能そのものを借りるSaaS」です。
試験ではこう出る
よく出るのは次の2つです。SaaSの説明や事例を選ばせる形と、SaaSを誤答に置いて別のサービスを選ばせる形です。1問ずつ解いてみましょう。
腕試し問題
出典:ITパスポート試験 平成27年秋期 問5
自社で利用する購買システムの導入に当たり、外部サービスであるSaaSを利用した事例はどれか。
解答と解説
解説(解答せずに開けます)
正解はアです。
「自社で利用したい機能だけをインターネット経由で利用する」形が、平成29年秋期 問11 の「必要な機能だけを必要なときに」と重なります。
- ❌ イ「サービス事業者から提供されるサーバ、OS及び汎用データベースの機能を利用して、自社の購買システムを構築し」→ システムを自分で作っています
- ❌ ウ「サービス事業者から提供されるサーバ上に、自社の購買システムを構築し」→ これも自分で作る形です
- ❌ エ「自社の購買システムが稼働する自社のサーバをサービス事業者の施設に設置して」→ 自社のサーバを事業者の施設に置く形で、機能を借りてはいません
もう1問。何を借りているのかを問題文から拾ってみてください。
腕試し問題
出典:ITパスポート試験 平成28年秋期 問22
自然災害などによるシステム障害に備えるため、自社のコンピュータセンタとは別の地域に自社のバックアップサーバを設置したい。このとき利用する外部業者のサービスとして、適切なものはどれか。
解答と解説
解説(解答せずに開けます)
正解はエです。
置くのは自社のバックアップサーバです。自分の機器を業者の施設に預ける形なので、ハウジングが当てはまります。
- ❌ ア ASP → 平成22年春期 問13 が「サーバ上のアプリケーションソフトウェアを、インターネット経由でユーザに提供する事業者」と説明した用語です
- ❌ イ BPO → 平成26年秋期 問22 が「自社の業務処理の一部を外部の事業者に任せる経営手法」として問うた用語です
- ❌ ウ SaaS → 借りるのはソフトウェアの機能で、サーバの置き場所ではありません
まとめ
- SaaSは、機能をネットワーク経由で借りて使う形。過去問は「必要な機能だけを必要なときに」と説明している
- クラウドサービスの一つとして出題され、どのサーバで動くかを利用者は意識しない
- ハウジングは場所、ホスティングは設備、PaaSは土台、SaaSは機能を借りる
- ASPはSaaSとよく似た説明で出題される。差そのものを問う問題は同じ28回では見当たらない
- SaaSが誤答として並ぶ形もある。何を借りているのかを問題文から拾う
選択肢に並ぶのは、どれも外の力を借りるサービスです。借りているのが場所か、設備か、機能かを一つずつ確かめてみてください。


