チャットボットとは?質問すると会話の形で自動で返事が来る仕組み【ITパスポート】

会社や役所のWebサイトの隅に出てくる吹き出しに、困りごとを打ち込んだことはないでしょうか。返事はすぐに届きますが、それを書いているのは人ではなく、プログラムかもしれません。会話の形で自動的に答えるこの仕組みがチャットボットで、ITパスポート試験では、似た場面で使われるほかの語と並べて問われています。
チャットボットとは
チャットボットとは、文字や音声で寄せられた問合せに、会話の形で自動的に答える仕組みです。過去問の正解の選択肢は、こう書いています。
文字や音声による問合せ内容に対して、会話形式でリアルタイムに自動応答する仕組み
(出典:ITパスポート試験 令和2年 問49)
押さえたいのは「会話形式」と「自動応答」の2語です。簡単にいうと、問合せに対してプログラムが、やり取りの形をとりながらその場で答えてくれる仕組みです。画面に打ち込む文字だけでなく、声で話しかける形もふくまれる点に注意しておきましょう。
ITパスポート試験のシラバス(Ver.6.5)では、「サービスマネジメント」の分野のサービスデスク(ヘルプデスク)の項目に、用語例として載っています。同じ項目には、あとで比べるFAQ(Frequently Asked Questions)も並んでいます。
会話の形で答えるプログラムには、意外に長い歴史があります。1966年、マサチューセッツ工科大学(MIT)のジョセフ・ワイゼンバウムが、「ELIZA(イライザ)」というプログラムを論文で発表しました。打ち込まれた文からキーワードを拾い、決めておいた規則で返事を組み立てるものです。
名前の由来も、その論文に書かれています。言葉の力を「先生」役が少しずつ伸ばしていける点を、『ピグマリオン』で知られるイライザになぞらえたそうです。
具体例でイメージをつかむ
たとえば、社内のヘルプデスクの画面を思い浮かべてみてください。「パスワードを忘れました」と打ち込むと、ボットが社員番号を聞き返し、再設定の手順を案内してくれます。このように、やり取りの形で答えを返すのが「会話形式」です。

令和元年秋期の問54には、サービスデスクが電話や電子メールに加えて、会話形式で自動的に応じるツールを使う場面が出てきます。令和6年の問28では、損害保険会社のコールセンターで、オペレーターにつなぐ前に音声チャットボットが用件を聞き取る事例が出てきました。
人が対応しない時間帯を受け持たせる使い方も、過去問に繰り返し出てきます。ヘルプデスクを受託している会社が、深夜時間帯は自動応答で対応すると提案する話です(令和2年の問39など)。
FAQ・RPA・エスカレーションとの違い
令和元年秋期の問54は、選択肢にFAQ・RPA(Robotic Process Automation)・エスカレーション・チャットボットの4つを並べました。何をするものかで並べてみましょう。
| 用語 | 何をするものか |
|---|---|
| チャットボット | 問合せに、会話の形で自動的に答える |
| FAQ | よくある質問と回答をまとめ、利用者が自分で解決できるように支える |
| RPA | 定型的な事務作業を、ソフトウェアのロボットが代わりに行う |
| エスカレーション | 難度の高い案件の解決を、専門技術をもつ二次サポートなどに委ねる |
右の列は、過去問の正解をもとにしています(平成30年春期の問41、平成31年春期の問19、令和3年の問44)。なお、FAQにまとめた回答を、チャットボットが会話の形で案内する仕組みもあります。

覚え方は「会話で自動で答えるチャットボット、質問と回答をまとめたFAQ、定型的な事務作業を代わるRPA、二次サポートなどに委ねるエスカレーション」です。
試験ではこう出る
ITパスポート試験の平成21年春期〜令和7年の28回で、チャットボットが問題文か正解の選択肢に出てくるものは10問です。平成31年春期から令和7年までの7回に出ています。
ただし、問題文にチャットボットが出てきても、答えがチャットボットとはかぎりません。導入の場面を借りて、合意に使う文書や管理プロセス、導入の効果を問う問題が、10問のうち4問ありました。令和2年の問39と令和5年の問44は合意に使う文書を問い、正解はどちらもSLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)です。令和7年の問49は導入の効果を問い、正解は受付時間の拡大でした。
まずは、事例を選ぶ問題です。話の中身ではなく、どう応じているかに注目して解いてみてください。
腕試し問題
出典:ITパスポート試験 令和元年秋期 問43
AIを利用したチャットボットに関する事例として、最も適切なものはどれか。
解答と解説
解説(解答せずに開けます)
正解はエです。
正答の理由
利用者の入力に応じて、コンピュータが会話型で商品を紹介しています。問合せに会話の形で自動的に応じているので、チャットボットの事例です。
誤答の解説
- ❌ ア「あらゆる物がインターネットを介してつながる」→ IoT(Internet of Things)の事例です(似た事例が令和2年の問8にあります)
- ❌ イ「動物の画像を大量に認識して学習する」→ 画像認識における機械学習の事例です(似た事例が令和3年の問20にあります)
- ❌ ウ「詳しい知識をもった人が回答や助言を投稿してくれる」→ 答えているのは人で、自動応答ではありません
ポイント
- 決め手は、会話の形で、自動的に応じているか
次は、サービスマネジメントのどの管理プロセスと結びつくかを考えてみましょう。
腕試し問題
出典:ITパスポート試験 令和4年度 問49
ITサービスの利用者からの問合せに自動応答で対応するために、チャットボットを導入することにした。このようにチャットボットによる自動化が有効な管理プロセスとして、最も適切なものはどれか。
解答と解説
解説(解答せずに開けます)
正解はアです。
正答の理由
インシデント管理は、中断しているサービスをできるだけ早く回復するプロセスです(令和4年の問44)。平成31年春期の問36は、問合せの単一の窓口であるサービスデスクを設置する部門を問い、4つの選択肢の中ではインシデント管理の担当が正解でした。問合せに自動で応じるチャットボットは、この窓口の仕事の一部を自動化するものです。
ただし、サービスデスクの仕事は、インシデント管理にかかわるものだけではありません。シラバス(Ver.6.5)は、サービスデスクがサービス要求管理の活動を行うと説明しています。この問題の選択肢にはサービス要求管理がなく、提示された中ではアがいちばん適切です。
誤答の解説
- ❌ イ「構成管理」→ IT資産を洗い出し、管理台帳に記録して管理します(平成22年春期の問41)
- ❌ ウ「変更管理」→ 承認された変更を、計画を立てて確実に処理します(平成23年秋期の問39)
- ❌ エ「問題管理」→ インシデントの根本原因を追及し、再発を防止します(平成23年秋期の問47)
ポイント
- 中断したサービスの迅速な回復はインシデント管理、根本原因の追及と再発防止は問題管理
まとめ
- チャットボットは、文字や音声による問合せに、会話形式で自動応答する仕組み
- FAQはよくある質問と回答をまとめたもの、RPAは定型的な事務作業を代わりに行うもの、エスカレーションは二次サポートなどに解決を委ねること
- 問題文にチャットボットが出てきても、答えがチャットボットとはかぎらない
見分けの軸は、会話の形で、自動的に答えているかどうかです。チャットボットかを選ぶ問題で迷ったら、この一点に戻ってください。
この記事のタグ
- マネジメント系
- サービスマネジメント
- チャットボット
- サービスデスク
- FAQ
- RPA


