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シングルサインオン——メールも勤怠も経費も、認証は最初の1回だけ【ITパスポート】

シカラボ編集部
シングルサインオン——メールも勤怠も経費も、認証は最初の1回だけ【ITパスポート】

朝いちばんにメールへログインし、勤怠システムでもう一度、経費精算でまた一度パスワードを打ち込みます。指のほうが先に覚えてしまった、という心当たりはないでしょうか。この「システムごとにログインし直す」をまとめてしまうのがシングルサインオンです。ITパスポート試験では、名前と説明を入れ替えた誤答が繰り返し並びます。

シングルサインオンとは

シングルサインオン(SSO、Single Sign-On)とは、一度の認証を受けるだけで、許可されている複数のシステムを利用できる仕組みです。過去問がそのまま説明しています。

利用者が認証を一度受けるだけで、許可されている複数のシステムを利用できることである。

(出典:ITパスポート試験 平成22年秋期 問62)

言い方を変えた出題もあります。

最初に認証に成功すると、その後は許可された複数のサービスに対して、利用者が都度認証の手続をしなくとも利用できるようにする仕組み

(出典:ITパスポート試験 平成28年春期 問93)

どちらにも「許可されている」「許可された」という条件が入っているところに注目してみてください。認証が1回で済むのは、あらかじめ許可された範囲の話です。何にでも入れるようになる、という意味ではありません。シラバス上はテクノロジ系のセキュリティ、そのなかの「情報セキュリティ対策・情報セキュリティ実装技術」に含まれます。

平成21年春期〜令和7年の28回のITパスポート試験で「シングルサインオン」という語を含むのは11問です。うち主題になっているのは4問だけで、残りの7問は誤答の選択肢として置かれています。

具体例でイメージをつかむ

たとえば、社内のメール・勤怠管理・経費精算が、それぞれ別のシステムだとします。シングルサインオンがなければ、3つとも入り口で個別に認証を求められます。あれば、最初に一度認証すれば、許可された3つを都度の手続なしで使えます。

利用者が最初に一度だけ認証を受け、そのあとは許可されているメール・勤怠管理・経費精算を都度の認証なしで使える流れの図

図の点線の枠が、さきほどの許可されている範囲です。ここに入っていないシステムまで使えるわけではありません。線引きがあることを先に押さえておきましょう。

シングルサインオンが、攻撃への対策の候補として並び、誤答になった問題もあります。平成31年春期の問59では総当たり攻撃への対策として、令和4年の問74ではサーバ室の共連れを防ぐ対策として並びました。正解は、問59が「パスワードの入力試行回数を制限する」を含む組合せ、問74がアンチパスバックです。同じ28回では、攻撃への対策として正解になった問題は見当たりません。

ワンタイムパスワード・バイオメトリクス認証との違い

平成25年春期の問58は、シングルサインオンとワンタイムパスワード・バイオメトリクス認証を1問のなかに並べました。説明とセットで区別しておきましょう。

仕組み何をするか
シングルサインオン一度の認証を受けるだけで、許可されている複数のシステムを利用できる
ワンタイムパスワード認証のために一度しか使えないパスワードを使う
バイオメトリクス認証指紋や虹彩など、その人に固有の特徴に基づいて認証する

ワンタイムパスワードの説明は平成25年春期の問58が、バイオメトリクス認証の説明は平成21年春期の問63が、それぞれ正解として書いています。令和4年の問75では、筆跡やキーストロークなどの行動的特徴を利用したものも含まれる、が正解でした。身体的特徴だけではありません。

一度の認証を受けるだけで許可されている複数のシステムを利用できる説明がシングルサインオン、一度しか使えないパスワードがワンタイムパスワード、指紋や虹彩の特徴がバイオメトリクス認証に対応することを示した図

覚え方は「回数を減らすのがシングルサインオン、使い捨てるのがワンタイムパスワード、身体や行動の特徴で確かめるのがバイオメトリクス認証」です。この3つは選び合うものではありません。シングルサインオンの最初の認証に、ワンタイムパスワードや指紋を使うこともあります。

利用者認証をまとめて問う形式では、名前と説明を入れ替えた選択肢が並びます。平成25年春期の問58、平成30年秋期の問69、令和6年の問89を見てみてください。3問とも、シングルサインオンの説明にほかの名前を貼った選択肢が並んでいます。逆に、ほかの方式の説明にシングルサインオンの名前を貼った選択肢も、3問すべてに置かれています。

平成28年春期の問93では、電子証明書で本人認証をする仕組みも誤答として並びました。電子証明書は公開鍵の持ち主を確かめる仕組みです。説明文だけ、名前だけで判断すると足をすくわれます。

試験ではこう出る

同じ28回で主題になっている4問のうち、3問は説明や特徴を選ばせる形、1問は説明文から用語を選ばせる形でした。まずは用語を選ぶ形からどうぞ。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 平成23年秋期 問85

一度の認証で、許可されている複数のサーバやアプリケーションなどを利用できる仕組みを何というか。

解答と解説

解説(解答せずに開けます)

正解はアです。

「一度の認証で、許可されている複数のサーバやアプリケーションなどを利用できる仕組み」が、そのままシングルサインオンの説明にあたります。

  • ❌ イ「スマートカード」→ 認証の回数をまとめる仕組みの名前ではありません
  • ❌ ウ「バイオメトリクス認証」→ 個人の指紋や虹彩などの特徴に基づく認証です
  • ❌ エ「ワンタイムパスワード」→ 一度しか使えないパスワードを使う方式です

もう1問、特徴を選ぶ形も解いてみましょう。

腕試し問題

出典:ITパスポート試験 平成30年春期 問91

シングルサインオンの特徴として、適切なものはどれか。

解答と解説

解説(解答せずに開けます)

正解はエです。

4つの選択肢は、前半で何の仕組みの話かが分かれます。認証の回数をまとめる話はエだけで、その文末が利便性でした。

  • ❌ ア「端末内にデータが残らないので、情報漏えい対策として効果的である」→ 端末にデータを残さない、シンクライアントの特徴です
  • ❌ イ「複数のディスクに自動的に分散配置されるので、可用性が高い」→ 複数のハードディスクに分散して書き込む、RAIDの話です(平成21年秋期の問78)
  • ❌ ウ「パスワードに加えて指紋や虹彩による認証を行うので、機密性が高い」→ パスワード(記憶)に指紋や虹彩(生体情報)を重ねる、二要素認証(多要素認証)の説明です。指紋を使うから違うのではなく、認証を重ねる話で、回数をまとめる話ではないからです

文末だけでは決められません。平成22年秋期の問81は、ほぼ同じ4つの文でシンクライアントの特徴を問い、アにあたる文が正解でした。前半で認証の回数をまとめる話かを見てから、文末の利便性で確かめてください。

まとめ

  • シングルサインオンは、一度の認証で、許可されている複数のシステムを利用できる仕組み
  • 条件は「許可されている」こと。何にでも入れるようになるわけではありません
  • 平成30年春期の問91が特徴として挙げたのは、利便性でした
  • ワンタイムパスワードは一度しか使えないパスワード、バイオメトリクス認証は指紋や虹彩などの身体的特徴と、筆跡やキーストロークなどの行動的特徴による認証
  • 利用者認証をまとめて問う形式では、誤答は名前と説明を入れ替えて作られます。片方だけでの判断は禁物です

選択肢を読むときは、説明文の「一度の認証で」という書き出しと、その文末に貼られた名前を、必ずセットで確かめてみてください。

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