営業支援システム(SFA)とは?営業の情報を組織で共有する仕組み【ITパスポート】

「先週の商談、どこまで進んだんだっけ」——担当者に聞かないと、誰も答えられない。訪問の記録はその人の手帳、見積のやりとりはその人のメールの中。そんな場面に思い当たることはないでしょうか。情報が人ごとにばらばらのままでは、ほかの人が使えません。散らばった営業情報を組織で共有し、商談の進み具合を管理する仕組みが、営業支援システム(SFA)です。ITパスポート試験では、よく似た略語と並べて出題されます。
営業支援システム(SFA)とは
営業支援システム(SFA)とは、営業の知識やノウハウを組織で共有し、営業活動の効率と管理の水準を上げるための仕組みです。SFAはSales Force Automationの略です。過去問は、その目的をこう書いています。
蓄積された知識やノウハウを組織全体で共有し、営業活動の効率と管理水準の向上を図る。
(出典:ITパスポート試験 平成27年春期 問13)
簡単にいうと、担当者が一人で抱えていた営業の情報を、部門のみんなが見られる場所へ移すシステムです。
では、何を移すのでしょうか。管理する情報の中身も、過去問がそのまま示しています。
顧客への訪問回数、商談進捗状況、取引状況などの情報
(出典:ITパスポート試験 平成23年秋期 問31)
訪問した回数、商談がどこまで進んだか、実際の取引がどうなっているか。この3つが並んでいます。
IPAのシラバス(Ver.6.5)では、この用語は「営業支援システム(SFA:Sales Force Automation)」と書かれています。分類はストラテジ系の「ビジネスシステム」で、POSシステムやRFIDと同じ枠です。あとで比べるCRMやSCMは、同じストラテジ系でも「経営管理システム」という別の枠に置かれています。まずは「営業の情報を、個人から組織へ移す仕組み」と押さえておきましょう。
具体例でイメージをつかむ
たとえば、営業担当者が10人いる会社を考えてみましょう。Aさんは訪問先の様子を手帳に書き、Bさんは自分のパソコンの表計算ソフトに入力しています。この状態だと、Aさんが休んだ日に顧客から電話が来ても、ほかの人は商談がどこまで進んでいるか答えられません。
そこで、訪問回数・商談の進み具合・取引の状況を、1か所のデータベースに集めます。上司は担当者に聞かなくても、状況を見られるようになります。うまくいった商談の進め方も、担当者が異動したあとに残ります。
過去問にも、この場面がそのまま出ています。平成27年秋期の問11は、状況をこう書きました。
個々の営業担当者が保有している営業情報や営業ノウハウをデータベースで管理し、営業部門全体で共有できるようにしたい。この目的を達成するために活用する情報システムとして、最も適切なものはどれか。
(出典:ITパスポート試験 平成27年秋期 問11)
正解はSFAシステムです。営業の情報を、個人の手元から部門で見られる場所へ移す。この問題が聞いているのは、その場面です。

導入する部門そのものを聞いた出題もあります。どの部門が答えになるかは、あとの演習で確かめてみてください。
CRM・SCMとの違い
同じ場面で取り違えやすいのが、CRMとSCMです。CRMはCustomer Relationship Management、SCMはSupply Chain Managementの略です。過去問がそれぞれをどう書いたか、並べてみましょう。
| システム | 支えるもの | 過去問での書かれ方 |
|---|---|---|
| SFA | 営業の現場 | 蓄積された知識やノウハウを組織全体で共有し、営業活動の効率と管理水準の向上を図る |
| CRM | 顧客との関係 | 顧客生涯価値を最大化することを目標の一つとする |
| SCM | モノの流れ | 調達から製造、配送及び販売に至る一連のプロセスの最適化 |
CRMの行は平成26年春期の問16、SCMの行は平成30年秋期の問20から取りました。どちらもSFAが誤答として並んだ問題です。
覚え方は「売る人を支えるSFA、買う人との関係を育てるCRM、モノの流れをつなぐSCM」です。

ただし、顧客との関係づくりの話から始まっても、答えがCRMとはかぎりません。令和6年の問34は、顧客と長く良い関係を築く仕組みの「構成要素の一つ」としてシステムを選ばせています。選択肢にCRMはなく、正解はSFAシステムでした。冒頭の一文だけで決めず、何を選ばせているのかを最後まで読んでおきましょう。
なお、平成27年秋期の問11では、誤答として「データウェアハウス」も置かれていました。その役割はデータウェアハウスの記事で扱っています。
試験ではこう出る
「SFA」という略語が出てくるITパスポートの過去問を、平成21年春期〜令和7年の28回で数えると21問ありました。そのうちSFAが正解なのは4問です。3問は問題文にSFAを置いて、目的・管理する情報・導入部門を聞いています。残りの14問では、SFAがほかの用語の問題の誤答として並んでいました。
つまり、SFAは「選べる」だけでなく「外せる」ことも要ります。よく出るのは次の2つです。場面を示してどの用語が当てはまるかを選ばせる形と、SFAを前提に目的・管理する情報・導入部門を聞く形です。まずは前者を、SFAを外す側から解いてみましょう。
腕試し問題
出典:ITパスポート試験 平成27年春期 問29
X社では、工場で長期間排水処理を担当してきた社員の経験やノウハウを文書化して蓄積することで、日常の排水処理業務に対応するとともに、新たな処理設備の設計に活かしている。この事例の考え方として、適切なものはどれか。
解答と解説
解説(解答せずに開けます)
正解はエです。
事例は、長く担当してきた社員の経験やノウハウを文書化して蓄積し、日常の業務と新しい設備の設計に活かしたというものです。知識やノウハウを組織で使えるようにする点は、冒頭で引いたSFAの目的とよく似ています。
違うのは、どの仕事を支えているかです。ここで扱っているのは工場の排水処理で、営業活動ではありません。
- ❌ ア「ERP」→ 平成31年春期の問3では「企業の基幹業務の全体を把握し、関連する情報を一元的に管理する」システムの正解です。ERPはEnterprise Resource Planningの略です
- ❌ イ「SFA」→ 支えるのは営業の現場でした。この事例に営業活動は出てきません
- ❌ ウ「サプライチェーンマネジメント」→ 平成30年秋期の問20では「調達から製造、配送及び販売に至る一連のプロセスの最適化」を戦略目標にした場面の正解です
もう1問、SFAを前提にして聞く形も見ておきます。
腕試し問題
出典:ITパスポート試験 令和元年秋期 問28
業務の効率化を目指すために、SFAを導入するのに適した部門はどれか。
解答と解説
解説(解答せずに開けます)
正解はアです。SFAが支えるのは営業の現場でした。並んだ4つの部門のうち、営業がこれに当たります。イ「経理・会計」、ウ「資材・購買」、エ「製造」は、いずれも営業以外の部門として誤答に置かれた選択肢です。
まとめ
- 営業支援システム(SFA)は、蓄積された知識やノウハウを組織全体で共有し、営業活動の効率と管理水準の向上を図る仕組み
- 管理する情報の例は「顧客への訪問回数、商談進捗状況、取引状況などの情報」
- 支える相手は営業部門。令和元年秋期の問28は、そこをそのまま聞いている
- CRMは顧客との関係、SCMはモノの流れ。売る人を支えるのがSFA
- 平成21年春期〜令和7年の28回で「SFA」が出てくる21問のうち、SFAが正解なのは4問。誤答として並ぶほうが多い
略語だけを丸暗記すると、選択肢に3つ4つと並んだときに迷います。「誰の、どの仕事を支えるのか」まで一緒に思い出せるようにしておきましょう。


